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経産相「紛争案件が解決されない事態を懸念」 WTO上級委の機能不全で

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 梶山弘志経済産業相は11日、世界貿易機関(WTO)の紛争処理の「最終審」にあたる上級委員会の委員が欠員となったことを受け、「今後新たに上訴される案件について、紛争案件が解決されない事態が生じることを懸念」とするコメントを発表した。上級委の審理には委員が最低でも3人必要だが、米国の反対で任期切れの委員を補充できず、11日から委員が1人になった。WTOは機能不全に陥ったが、解決策は見いだせていない。

 梶山氏はコメントの中で「上級委の機能の早期回復に向け、WTO加盟国全体で早急に取り組むことが不可欠だ」と指摘した。

 現在、上級委では13の案件を係争中だ。このうち、4件についてはほぼ審理が終わっており、任期切れを含む3人の委員で継続審理した上で結論を出すものとみられる。しかし、残る9件については審理が宙に浮く可能性がある。

 この中には、日本が輸入鉄鋼製品に対する関税措置でインドを訴え、上級委で争っている案件も含まれている。上級委の機能不全によって、結論が出なくなる恐れが出てきた。

 また、日本の対韓輸出管理の厳格化をめぐっては、韓国が9月に日本をWTOに提訴。11月に紛争手続きの中断を発表したが、仮に韓国が手続きを再開しても、上級委に持ち込めない可能性もある。

 WTOの意思決定は全会一致が原則だ。しかし米国は任期切れの委員の後任選びで反対を続けており、2年前から新しい委員が選任されていない。

 米国が選任を拒否するのはWTOへの不信感が背景にある。中国の知的財産権の侵害や、中国政府による企業への補助金問題などにWTOが十分に対応できていないとの不満があるためだ。原則として90日以内で判断を示すことが求められている上級委の審理が長期化していることにも反発している。

 このため、日本などは上級委の審理期間90日の厳守や、上級委が1審にあたる「パネル」の事実認定を審査しないといったWTOの紛争処理機能の改革案を提案している。しかし、今のところ米国とは折り合えていない。米中の貿易戦争が続くなか、紛争案件は増加し、内容も複雑化している。WTOの機能不全が長期化すれば、その存在意義も問われることになる。

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