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社債発行額が過去最高に デビュー債や50年債…顔ぶれ多彩

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 超低金利環境下で、社債市場が膨らみ続けている。日本証券業協会は10日、今年1~10月の普通社債発行額が12・6兆円だったと発表した。通年で、データを公表している平成10年以降で過去最高を更新することが確実となった。

 日本銀行が民間銀行の資金を預かる際に年0・1%の手数料を取る「マイナス金利政策」を導入した28年以降、国内の社債発行額は毎年10兆円を突破。「金利が低いうちに安く資金調達したい」という企業側と、「プラス利回りがほしい」と考える投資家側の需要の重なりが市場拡大を後押ししている。

 「多め、早め、長めに資金を確保したいという企業が増えている」。社債発行を急ぐ企業の動きについて、みずほ証券プロダクツ本部の戸高洋祐副本部長はこう話す。

 企業は社債市場から調達した資金を銀行からの借り入れ返済のほか、M&A(企業の合併・買収)、株主還元の一環としての自社株買いに充てている。武田薬品工業は5千億円を調達し、アイルランド製薬大手シャイアー買収で生じた負債の一部を置き換えた。

 社債の役割について、SMBC日興証券デット・シンジケート部の新堂尚紀部長は「知名度や不特定多数の投資家の評価を反映する企業の通信簿だ」と解く。

 こうした役割に期待してか、今年は日清製粉グループ本社や東海カーボンなど、社債市場に“デビュー”する銘柄も目立つ。高い格付けを得られれば、営業活動や銀行からの借り入れがしやすくなるなどのメリットを享受できる。

 年限も長期化してきた。今年はついに国債の最長年限40年を超える50年社債が登場。三菱地所、JR東日本、大阪ガスとインフラ系の3社が発行した。

 一方、運用難が続く投資家側の事情は深刻だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券デット・キャピタル・マーケット部の池崎陽大部長は「より利回りを貪欲に求めるようになり、国債の代わりに社債を買う動きが強まっている」と話す。

 投資家の需要の強さを裏付けるように、実質0%の社債や「ハイイールド債」と呼ばれる格付けの低い社債も出てきた。

 大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは「日本企業は資金調達で長らく銀行に頼ってきた。社債や株式を発行し市場を通した資金調達が増えることは、企業に財務戦略の柔軟性をもたらす」として、社債市場の拡大を歓迎している。(米沢文)

 社債 企業が資金調達手段のひとつとして発行する債券。銀行や保険会社、資産運用会社などの機関投資家が買って運用する。発行体企業は投資家に対し、利息を支払い、償還日を迎えると元本を返済する。銀行から借り入れるよりも、中長期の資金を調達しやすいメリットがある。格付けが高いほど有利な条件で発行できる。

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