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サウジ皇太子、強硬政策続けばアラムコ株価直撃リスクも

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サウジアラビアにあるサウジアラムコの石油貯蔵施設=10月(ロイター)
サウジアラビアにあるサウジアラムコの石油貯蔵施設=10月(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビア国営石油会社、サウジアラムコの新規株式公開(IPO)は国際的な注目を集め、石油大国サウジの底力を見せつけた。株上場は次期国王と目されるムハンマド・ビン・サルマン皇太子が熱意を傾けてきたプロジェクトで、自ら主導する国内の経済・社会改革「ビジョン2030」の推進に弾みをつける狙いがある。

 今回のIPOは国内の証券取引所に限定して行われたが、いずれは国外でも上場する予定で、そうなればサウジの外交・内政の動きが株価に即座に跳ね返ることになる。アラムコの企業価値を維持するには透明性やモラル重視の振る舞いが欠かせず、強硬姿勢が目につく皇太子の政策が変化するかが注目される。

 皇太子は2016年にアラムコの株上場に意欲をみせた際、企業価値を「2兆ドル」と述べたが、結果は1・7兆ドルにとどまった。人口膨張が続くサウジでは石油依存からの脱却が急務で、政府は株上場で調達した資金をビジョン2030に活用し、産業の多角化と雇用の拡大を目指す。

 10月に首都リヤドで行われた国際投資会議は昨年と違い、米政権の閣僚や欧米企業トップなど多数が訪れた。昨年10月、トルコのサウジ総領事館で起きた反体制記者殺害事件で傷付いた印象は、欧米企業の間では払拭された感がある。

 ただ、今年9月にはサウジ東部でアラムコが運営する石油施設が無人機などで攻撃され、一部は生産停止に追い込まれた。事件ではイランの関与も疑われており、敵と味方を鮮明に区別する皇太子の外交には危うさもつきまとう。

 強引な政治手法が続けば、国家財政を支えるアラムコの価値を下げる局面もありえるだけに、株上場は新たにリスクを抱えたことも意味している。

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