PR

サウジアラムコ、歴代最高2・8兆円調達か 12月5日にIPO価格

PR

サウジアラムコの石油関連施設=2018年5月、サウジアラビア東部ラスタヌラ(ロイター)
サウジアラムコの石油関連施設=2018年5月、サウジアラビア東部ラスタヌラ(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビア国営の世界最大の石油会社サウジアラムコの国内証券取引所に新規上場する際の価格が、12月5日に公表される。アラムコはまず、国内の個人向けに全体の1・5%を販売。公募価格から算定した調達額は240億~256億ドル(約2・6兆~2・8兆円)となり、2014年にニューヨーク証券取引所に上場した中国電子商取引最大手アリババグループの約250億ドルを抜き、歴代最高となる可能性がある。

 アラムコの新規株式公開(IPO)は石油大国サウジに海外投資を呼び込む起爆剤となり得るだけでなく、ムハンマド皇太子が進める国内改革にも影響を与えそうだ。

 「(サウジの金融市場に)飛躍をもたらす」

 サウジのサルマン国王は20日、アラムコのIPOについてこう意気込んだ。国政助言機関「諮問評議会」の演説内容として国営通信が伝えた。

 アラムコは公募価格を1株30~32リヤル(約870~930円)に設定した。発行済み株式総数は2000億株という。12月4日まで市場の需要動向を見極め、英米金融大手の顧問団と協議し、5日に最終的な価格を公表する予定だ。

 ロイター通信によると、アラムコは企業価値を1・6兆~1・7兆ドルと想定しており、時価総額1兆ドル超の米アップルや米マイクロソフトを抜く可能性がある。

 ムハンマド皇太子は約4年前、アラムコの企業価値を「2兆ドル」と主張していたが、今回の想定額では届かなかった。アラムコは目論見書で、投資のリスクとして「テロや武力紛争」が株価に影響する可能性に言及。9月にサウジ東部の石油施設が攻撃される事件があったことも影響したとみられる。

 同社はIPOの成功に向け、サウジ国内の富豪をはじめ、ペルシャ湾岸やアジア諸国の政府系ファンドに投資を呼びかけている。今後は国外での上場も視野に入れており、ロンドンや東京などを検討しているとされる。

 サウジの人口は3400万人以上と1990年の2倍以上に増えた。失業率は12%に達し、若者に限ればさらに深刻だといわれる。雇用拡大のため、石油依存から脱却して産業を多角化することが急務だ。ムハンマド皇太子は女性の雇用を促進する目的で、女性の自動車運転を解禁するなどの改革に取り組んできた。

 サウジ政府はIPOで得た資金で、こうした改革に弾みをつけたい考えともいわれる。ただ、アラムコの経営にサウジ王室が関与していることへの懸念も聞かれる。米紙ニューヨーク・タイムズは、サルマン国王とムハンマド皇太子の現体制は「アラムコを同社の利益ではなく、自分たちの利益の追求のために使ってきた」とし、欧米のように企業経営上の透明性が確保されていないとする寄稿を掲載した。

この記事を共有する

おすすめ情報