PR

5G来春商用化へ先行サービス続々 課題探る意味合いも

PR

 来年春の第5世代(5G)移動通信システムの商用化を前に、消費者向けプレサービスが続々と登場している。商用化開始当初はコンサート会場や競技場などの限られた空間での事業展開が先行する見込みで、携帯電話大手は大型イベントにからめて5G時代の到来をアピールしている。しかし5G基地局の展開や対応端末の普及にはしばらく時間がかかることも事実で、プレサービスには大型イベントを試金石として課題を探る意味合いもあるようだ。

 新潟県湯沢町の苗場スキー場と東京・六本木の音楽ファンが「ひとつの会場」でイベントを体験する-。

 ソフトバンクは7月下旬、国内初の消費者向け5Gプレサービスとして、こんな企画を打ち出した。苗場で開かれた音楽イベント「フジロックフェスティバル」のステージを仮想現実(VR)空間に再現し、苗場と六本木の両会場を訪れた参加者がVRゴーグルをつけて一緒にライブを楽しむという仕掛けだ。

 VR空間には自分の分身(アバター)が映し出され、手を振ったり、顔を見合わせたりしながら、双方の会場からの参加者と声を交わせる。

 「こちら六本木、苗場の天気はどうですか」

 VR空間内での会話は、約200キロ離れているとは思えないほどの臨場感で弾んだ。

 来春の商用化を見据えるのは他社も同じだ。NTTドコモは7月下旬、都内の5G体験スペースを2020年東京五輪・パラリンピックを意識した内容に一新。KDDI(au)は触感や温度が伝わるロボットを観光地に設置して遠隔操作するなど、新しい観光サービスを描く。

 5Gの電波の割り当てを受けたドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社のうち、ソフトバンクとKDDIは来年3月に5Gの商用サービスを開始する予定。NTTドコモも春から提供する計画だ。

 ただし5Gサービスは一足飛びで実現するわけではない。実用化が期待される自動運転や多言語翻訳などは、全国津々浦々での利用が想定され、全国的な5G基地局網の整備が不可欠。しかし4社の計画によると、合計7万局の5G基地局網の整備は令和6年度末までかかり、政府は前倒しを支援する方針だ。

 また、5G対応スマートフォンの普及スピードも見通せない。日本メーカーの試作機は厚みがあったり、縦に長くなったりと改良の余地が残り、価格も数万円割高になるとみられる。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が中国で販売中の5G対応スマホも日本円換算で約9万3千円で、中国製品としては高めだ。

 今回のソフトバンクのプレサービスで5G回線が使われたのは、実験用の5G対応スマホの試作機と移動基地局の間のわずかな距離だけ。実際に苗場と六本木を結んだのは現行規格の4G回線だった。各社のプレサービスには、実験を重ねて実用化への道を探る狙いもある。(高木克聡)

この記事を共有する

おすすめ情報