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【検証エコノミー】eスポーツに産業界が熱視線 5Gも追い風

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 対戦型ゲームで競い合う「eスポーツ」の人気が高まっている。ゲームは第5世代(5G)移動通信システムで楽しめる動画コンテンツとしても注目され、eスポーツのスポンサー企業はゲーム関連会社にとどまらない。日本のお家芸だったゲーム産業だが、海外での人気が先行するeスポーツは定着できるか、正念場を迎えている。

 「日本行きが決まったぞ!」。台北市内のイベント会場に実況の声が響くと、約300人が一斉に歓声を上げた。IT大手のミクシィが5月に開催したスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」アジア大会の台湾予選の一幕だ。

 大会は国内外7カ所で行われた予選を勝ち抜いた全10チームが7月に日本で決勝大会を戦う。1チーム4人で参加し、優勝チームの賞金は4000万円。賞金総額も1億円と破格だ。平成25年にサービスを開始したモンスターストライクは、国内での課金売上高が29、30年の2年連続でトップ。eスポーツ人気が収益の安定化を下支えする。

 ゲーム雑誌『ファミ通』を出版するGzブレイン(東京都中央区)によると、30年の国内eスポーツ市場は前年比13倍の48億円に急成長した。スポンサー料が75・9%と大半を占めるが、イベントのチケット収入も5・3%と拡大傾向だ。家庭用ゲーム市場が縮小する中、格闘ゲームやスポーツゲームを得意とする日本のゲームメーカーはeスポーツの成長を取り込みたい考えだ。

 欧米から始まったeスポーツ人気は、アジアにも広がりつつある。台湾のeスポーツ関連団体「台湾電競協会」の施文彬理事長は「世界の都市の中で、台北市はeスポーツの動画視聴数で1位だ」と胸を張る。

 台湾では一昨年、eスポーツを「運動産業発展条例」の対象に加えた。スポンサー企業は税金などが優遇され、優秀な成績を残したプロ選手は兵役が免除される。

 海外のeスポーツ人気にあやかろうとスポンサーに名乗りを上げる企業が続々と登場している。

 中でも、来春に5Gを商用化する通信大手は熱視線を注ぐ。KDDI(au)は日本eスポーツ連合(JeSU)の公式スポンサーとなっている。NTTグループも国内のeスポーツ大会の運営などに本格参入している。ミクシィの大会はトヨタ自動車のほか、今年から米グーグルも支援しており、スポンサー企業の裾野が広がっている。

 eスポーツで使われる通信技術などは、IT分野には欠かせない技術。自動運転などの次世代サービスへの応用が期待できる。

 グーグルは3月、オンラインゲーム事業への参入を発表した。「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業では、米アップルやアマゾン・コムも参入を虎視眈々と狙っている。

 一方、eスポーツは、まだ、体を動かす従来のスポーツと区別する考えも根強く、健康への影響を懸念する声も大きい。

 世界保健機関(WHO)総会が5月、「ゲーム障害」を新たな依存症として認定した「国際疾病分類」最新版を承認した。10代、20代の若年層が中心選手のため、引退後のキャリアに対する不安もある。

 ただ、実際の患者数の増減傾向やゲームと依存との因果関係などは解明されていない。

 日本では、9月に始まる茨城国体にも文化プログラムとして採用されており、業界団体も依存症対策に乗り出している。ゲーム好きはITにも強い傾向がみられ、引退後にシステムエンジニアなどに育成しようという動きもあり、今後の動向からはますます目が離せなくなりそうだ。

(高木克聡)

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 【eスポーツ】エレクトロニック・スポーツの略。コンピューターゲームやビデオゲームで競い合う対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。使用する機器も家庭用ゲーム機やパソコン、スマートフォンなどと多岐にわたる。1990年代、日本で格闘ゲームブームが起きた一方、欧米では、オンライン対戦が盛んになり、プロ選手が誕生した。

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