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日本電産EV攻勢 中華攻略に「三位一体」モーター

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モーター、ギア、インバーターを一体化した、新型のEV向け駆動装置=12日、滋賀県愛荘町の日本電産滋賀技術開発センター(織田淳嗣撮影)
モーター、ギア、インバーターを一体化した、新型のEV向け駆動装置=12日、滋賀県愛荘町の日本電産滋賀技術開発センター(織田淳嗣撮影)

 精密小型モーター大手の日本電産は12日、電気自動車(EV)用にモーター、ギア、インバーター(回転数を制御する部品)を一体化した「三位一体」型駆動装置を15日から量産すると発表した。中国メーカーより優れた技術力、欧米メーカーに勝る価格競争力を武器に、主に中国市場を開拓する。EVのプラットフォーム(基盤)づくりに参入する構想も表明。EV市場へさらに攻勢を強める姿勢を打ち出した。(織田淳嗣)

 駆動装置は、15日に開業する中国・平湖の自社工場で生産。部品の一体化で小型化を実現し、出力150キロワットのモデルは重量87キロ。同程度の出力のガソリン車エンジンと比べて重量を半分程度に抑えた。

 同社は、成長軌道にあるEVを事業の要と位置づけている。車載事業の売上高を20年度に7000億~1兆円(17年度は2954億円)に伸ばす計画で、売上高の半分を占めることになる。

 駆動装置は、中国の自動車メーカー「広汽新能源汽車」の新型量産EV「アイオンS」向けに納入するが、早くも他のメーカーからも引き合いが相次いでいるという。車載モーターを担当する早舩(はやふね)一弥・専務執行役員は「現地メーカーから『このモーターをほしい』とたくさん電話がかかってくる」と話し、増産のため平湖の自社工場隣接地に新工場棟を建設する計画だ。

 今後は、タクシー向けの出力100キロワットモデルを来年10月に、インドや国内の軽自動車向けの同70キロワットモデルを21年度に発売。モーターシステム装置全体の売上高は、22年度で1000億円を目指している。

 ただ、中国ではEV市場の成長が鈍化する懸念もある。中国当局は現地の自動車メーカーに技術革新と自立を促すため、年々補助金を減額。業界再編の見方も浮上している。早舩氏は「マーケットが縮小した場合には、シェアを取ってカバーする必要がある。目標達成には開発力がカギ」と話した。

 同社は、車載事業の長期的展望も示し、25年度をめどにEVのプラットフォーム(基盤)開発に乗り出すことを明らかにした。プラットフォームは、同社の持つステアリング(操舵系)のモーターや、先進運転支援システム向けセンサーなどの基幹部品で構成される。新興のEVメーカーがプラットフォームを購入し、車体やエアコンなどを取り付けて完成品に仕上げる。

 EV化で部品点数が減ってシンプルになる分、部品メーカーの日本電産はこうしたプラットフォームによって勝機を広げる。プラットフォーム事業は、30年度に年間売上高1兆円を目指す。早舩氏は「自動車メーカーを頂点とする構造から、産業が水平分業型になる可能性がある」と指摘。自動車産業の構造変化に期待感も示した。

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