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「5Gサービス」視線は地方 遠隔医療、自動運転…新産業を創出

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 第5世代(5G)移動通信システムの電波の割り当てが決まった。事業者は商用化が始まる令和2(2020)年をにらみ、基地局などインフラ整備を本格化する。米国と韓国では地域限定でサービスが始まったが、世界で第2グループとなる日本では当初から地方を含む幅広いエリアでサービス立ち上げを目指すなど、地方創生への5G活用を見据えている。(万福博之)

 「5Gで社会や産業の発展に貢献できるよう取り組みたい」。NTTドコモの吉沢和弘社長は10日にこうコメントした。

 周波数の割り当てをめぐっては10ある枠のうち、3.6ギガ~3.7ギガヘルツ、3.7ギガ~3.8ギガヘルツの2つの帯域がどの事業者に割り当てられるかが焦点だった。

 欧州は5Gでこれら2つの帯域を使用。基地局世界大手3社のうち中国の華為技術(ファーウェイ)を除く欧州2社がこの帯域に対応した機器を製造しており、そのまま活用してコストを抑えられるからだ。総務省は複数の審査基準で各社を審査し、ドコモとKDDI(au)にこの帯域を割り当てた。

 4Gでは人口の多い地域をどれだけ早くカバーできるかを評価したが、今回の5Gでは地方も含めた広域をカバーするかを評価。全国を10キロ四方に区切り、5年以内に50%以上の区画での基盤となる基地局設置を最低条件に、より広範囲の整備を計画する事業者に加点した。ドコモは97.0%、KDDIが93.2%と他2社を上回った。

 「地方でこそ5Gのニーズが高い」と総務省の幹部は強調する。5Gのサービスで有力な遠隔医療や建設機械の遠隔操作などは人手不足の地方で強く必要とされる。公共交通機関の維持が難しい過疎地では、5Gを使った自動運転バスの走行が期待される。産業力を高めるのと同時に地方創生の実現も狙うのが、政府が描く5G戦略の青写真だ。

 「出遅れているつもりはまったくない」。世界初のサービスをめぐり火花を散らした米国と韓国を尻目に総務省幹部は言い切る。企業や国家間の競争は激しさを増すが、先駆けた米韓もサービスの提供はごく限られた地域のみ。一方、日本は1年遅れるが、都市と地方に時間差なくサービスを普及させる考えだ。

 5Gは2020年までに主要国で商用化されるが、基地局整備が進み、より幅広い地域で使えるようになるには投資と時間が必要だ。こうした中、KDDI、ソフトバンク、楽天の3社は5G用のアンテナ設備を共用した通信の実証実験を始めた。5Gで使う電波は4Gに比べて届く距離が短く、つながりやすい通信網を築くにはより多くの基地局を設置しなければならない。このため、今後はいかに投資負担を軽減するかも5Gを普及させる上での課題になってくる。

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