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原発をサイバー攻撃から防御 電力業界などが新組織

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 東京電力福島第1原子力発電所事故の反省や教訓をもとに、電力業界などが原発の安全性向上を目指す取り組みを急いでいる。昨年7月には、電力会社やメーカーなどが参加した新組織が発足。今春には、原発をサイバー攻撃から守る機能の強化に関する指針の第一弾を策定する方針だ。事故後につくられた新規制基準のもとでの原発の再稼働はなかなか進まず、国民に原発への不安も残る中、信頼回復につなげたい考えだ。

 「(取り組みは)まだ緒に就いたばかりだが、原子力安全をより高いレベルに上げたい」。原子力エネルギー協議会(ATENA)の門上英(かどかみ・えい)理事長は2月のフォーラムでこう述べた。

 ATENAは昨年7月に設立。原発の安全性を高めるために、「(原発を持つ電力会社や原発関連のメーカーなどの)原子力産業界全体で共通する技術的な課題を洗い出して対策を検討し、効率的に現場に落とし込んで成果を出す」(門上氏)ことを主眼に置く。

 「(福島第1原発)事故の反省の一つは、ルールを順守することで満足し、エクセレンス(世界最高水準の安全性)の追求が不十分だったことだ」。全国の電力大手10社を会員とする電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は、3月の講演でこう指摘した。

 こうした声を踏まえ、ATENAは「新たな知見や技術を積極的に活用するなど、原子力産業界が自ら一歩先んじて取り組む」(門上氏)姿勢を重視する。

 電力会社やメーカーからの聞き取りなどを通じて約200件の課題を抜き出した上で、短期や中期で取り組む課題を14件に絞った。その一つが、原発をサイバー攻撃から守る機能の強化だ。

 福島第1原発事故後、原発を持つ電力会社から独立した第三者機関の原子力安全推進協会(JANSI)や、原子力施設のリスク情報を評価する電力中央研究所・原子力リスク研究センター(NRRC)が発足。ATENAにとってはこれらの組織や電事連のほか、フランス、米国など海外の原子力関連機関との情報交換や連携強化も重要だ。

 一方、ATENAは、原子力産業界全体で共通する技術的な課題への対策については、規制当局である原子力規制委員会と対話したい考えだが、実現していない。門上氏は「原子力安全をより高いレベルに引き上げるという目的は(双方とも)同じはずだ。情報を共有し、同じ考えのもとで活動を進めたい」と話す。

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