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【経済インサイド】「ボス」なのに紅茶、「天然水」から緑茶 サントリーのねらいは

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「クラフトボスTEA ノンシュガー」の新CM発表会に登場した女優の杉咲花さん=3月14日、東京都港区(日野稚子撮影)
「クラフトボスTEA ノンシュガー」の新CM発表会に登場した女優の杉咲花さん=3月14日、東京都港区(日野稚子撮影)
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 飲料メーカー各社が相次いで新商品を投入する春だが、今年はペットボトル飲料で、ちょっとした異変が起きている。サントリー食品インターナショナルが、コーヒーの「ボス」から紅茶を発売するなど、ブランドの持つカテゴリーを越える新商品を続々と投入するからだ。同社のこうした試みは「商品カテゴリーだけでブランドを見ない」という考え方がある。

 サントリーはこの春、「ボス」のほか、ミネラルウオーターの「サントリー天然水」などで、ブランド名とのつながりを切る新商品を相次いで発表した。

 ペットボトル入りコーヒー市場の創出を牽引(けんいん)した「クラフトボス」から登場したのは、無糖紅茶の「クラフトボスTEA(ティー) ノンシュガー」。広告には「えっ! ボスから紅茶?」「多様性の時代に、ボスものっかってみた。」とのフレーズが躍る。

 また、市場調査会社調べで全飲料ブランドの中で昨年の販売実績1位になるなど、ミネラルウオーターとしてのブランドが定着する天然水からは、緑茶の「天然水GREEN TEA(グリーンティー)」を投入する。

 天然水では、これまで「ヨーグリーナ」など、香りや味がするフレーバーウオーターなどを展開してきたが、いずれも無色透明だった。今回は茶葉から抽出した緑茶で、当然だが色が付いている。

 ■潜在ニーズ掘り起こし

 2つの新商品に共通するのは、液体の色と味わいを売りにして潜在ニーズを掘り起こすという点だ。そのために独自技術を導入して、紅茶や緑茶にある特有の苦みや渋味を極力抑えた。「ゴクゴク飲める味わいの軽さ」(同社)で、20~30代の若者や、複数の商品を回遊する人を取り込む狙いだ。

 ただ、サントリーにはペットボトル紅茶に「リプトン」、緑茶は「伊右衛門」という看板ブランドがある。ブランド越えの新商品投入の意図について、ブランド開発事業部長の柳井慎一郎・常務執行役員は「(紅茶ならリプトン、緑茶なら伊右衛門などといった)カテゴリーの中だけでブランドを見たり、考えたりしていない」と説明する。同社によると、ボスは「働く人の相棒」、天然水は「清冽(せいれつ)なおいしさ」というのが設定されたブランドビジョンだ。

 働く人の相棒だから、仕事中の喉を潤したいという需要に対応するのが基本で、そのなかで「コーヒーが苦手な人には紅茶で応える」というわけだ。また、清く澄んで冷たい水だから、飲み物をストレスフリーにすっきり飲みたいという潜在需要に応えての緑茶なのだという。柳井氏は「無茶(むちゃ)なことを言っているかもしれない。でも(潜在需要の見込みは)たまには当たるので少しは信じてほしい」と笑う。

 ■人気の無糖系

 健康志向による無糖系飲料の人気を背景に、国内の飲料市場は人口減少の中でも伸長している。複数の調査会社の推計では平成29年度の販売額は5兆1000億円を突破し、30年度はさらに伸びたとみられる。

 こうした中で、他社も無糖系飲料の新商品を発表。キリンビバレッジはペットボトル紅茶1位ながらも甘い紅茶の印象が強い「午後の紅茶」から無糖の「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」を、コーヒー「ファイア」からはペットボトルコーヒー「ファイア ワンデイ ブラック」を投入。他メーカーでも無糖系飲料のお披露目が続くと見込まれる。

 新商品が並ぶ売り場は活気も出るため、小売業界にとってはありがたいが、陳列棚は売れ筋優先。コンビニエンスストアでは棚の入れ替え頻度は高い。サントリーのブランドを越えた商品投入は、ペットボトル飲料をめぐる各社の競争をさらに過熱させている。 (経済本部 日野稚子)

 サントリー食品インターナショナル サントリーホールディングス(HD)傘下で、国内外の飲料・食品事業を担う中核企業。平成21年、サントリー食品として分社化、23年に現在の社名となり、25年7月に東証1部に上場した。30年12月期の連結売上高は1兆2942億円で、サントリーHDの連結売上高の5割強を占める。

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