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【経済インサイド】東京五輪のレガシーに 環境配慮の食品調達に企業が取り組む理由

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パナソニックの社員食堂では、国際認証を受けた水産物を使ったメニューを採用している=東京都港区(佐久間修志撮影)
パナソニックの社員食堂では、国際認証を受けた水産物を使ったメニューを採用している=東京都港区(佐久間修志撮影)
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 国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の推進に向けた一環として、持続可能な食品調達に目を向けた企業の取り組みが進んでいる。社員食堂では環境などへの負荷が少ない漁業で調達した水産物を採用するほか、環境基準などをクリアした農産物を使った日本初のビュッフェレストランもオープン。食品調達の基準は来年の東京五輪・パラリンピックでも採用されており、「食のレガシー」を残す取り組みとして注目度が高まっている。

 ■パナが旗振り役

 東京・汐留にあるパナソニックの社員食堂。午前11時半前から社員が一つのカウンターに列を作った。調理員が社員のトレーに乗せたのは、大ぶりのカキがいくつも入った揚げたてのカキフライ定食。「熱々でおいしい。カキなんてなかなか家では食べられない」と男性社員。ほおばる口元が自然とほころぶ。

 定食に使われたカキは環境を守りながら育てられた養殖の水産物に与えられる国際認証「ASC」を取得した業者から調達した。パナソニックは昨年から、認証を受けた水産物「サステナブル・シーフード」を日本企業で初めて本社(大阪府門真市)の社員食堂に毎月1回程度のペースで取り入れ、3月からは東京でも取り扱いが始まった。

 認証を実効性あるものにするため、漁師や養殖業者が認証を受けるだけでなく、加工・流通業者や社員食堂を委託する給食業者まで、すべて同様の認証を受ける調達にこだわった。CSR・社会文化部の喜納厚介課長は「あとに続く企業が導入しやすい環境作りを実現するためだった」と道のりを振り返る。

 実際、パナソニックの働きかけで複数の給食業者が認証取得に動いた結果、損保ジャパン日本興亜や日立製作所などにも社員食堂にサステナブル・シーフードを導入する動きが広がったという。東京海洋大学のさかなクン客員准教授は「魚を食べないととれない栄養素もあるので、持続的に食べ続けられるための取り組みが重要ですね!」と話す。

 こうした環境や人権などに配慮するSDGsに関連した取り組みは、来年の東京五輪開催を控え推進が急がれている。

 ■ロンドン五輪を継承

 東京五輪をめぐっては、環境NGOが新国立競技場建設で使われるコンクリート型枠に違法伐採や調達課程で人権侵害の恐れがある木材が使われていると指摘した経緯などもあり、SDGsへの対応が成功のカギを握るとされる。東京五輪で重要な取り組みの一つと位置づけられるのが、選手村などにおける持続可能な食品の調達だ。

 ロンドン五輪開催国の英国では、五輪を機にASCなどの国際認証を受けたサステナブル・シーフードが多くの学校給食などに導入され、ロンドン五輪の一大レガシーと呼ばれている。五輪のワールドワイド公式パートナーのパナソニックがサステナブル・シーフードに取り組むのも、東京五輪におけるレガシー継承を見据えたものだ。

 食品調達基準の認知度向上を図る取り組みは、外食分野でも動き出している。3月20日に東京・有楽町でオープンしたビュッフェレストラン「グランイート銀座」は調味料などを除き、野菜や肉類など約9割の食材は、生産管理工程で食品安全や環境などに配慮していることを示す「GAP認証」を受けた農家から直接調達したという。

 72席の店内には、ローストビーフなどのメーンディッシュをはじめ、冷菜やデザートに至るまで常時約40品目が並び、過去の五輪の選手村で提供されたメニューもそろえたという。目の前でシェフが料理するライブ感が食欲をそそるほか、天ぷらなどは揚げたてを注文できるのも売りだ。

 運営会社グランイートの武田泰明社長は「本当に伝えたいことはGAP認証食材という点だが、まずレストランとしておいしく、楽しく料理を食べていただくことで、GAP認証のことも知ってもらえるのではないか」と手応えを語った。

(経済本部 佐久間修志)

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