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【検証エコノミー】スバル、揺らぐ「安全神話」 相次ぐ品質問題 海外偏重でひずみ

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 無資格者による完成検査、燃費・排ガスデータ改竄(かいざん)、大規模リコール…。国内自動車大手SUBARU(スバル)で、不正を含む数々の品質管理問題が噴出し、その影響が業績を直撃している。戦前の大手航空機メーカーを母体とし、品質や安全性が高く評価されてきただけに、問題の根絶は社運を懸けた取り組みだ。今年度を「再スタートの年」(中村知美社長)に位置づける同社は、ブランド復権に向け正念場を迎えている。(臼井慎太郎)

 「当社は『信頼回復』、そして『企業風土改革』という大きな課題に立ち向かっている」。中村氏は1日、東京都渋谷区の本社で開いた入社式で、566人の新入社員を前に、難局打開に向けて結束を訴えた。

 平成29年秋以降に発覚した一連の検査不正に加え、今年1月には、外部調達するハンドル操作の補助部品「電動パワーステアリング装置」で不具合が発覚。国内唯一の生産拠点である群馬製作所(群馬県太田市)の稼働が一時停止した。

 2月には、ブレーキランプを点灯させるスイッチに不具合があるとして、大規模リコール(回収・無償修理)の実施を発表。対象はスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」など2車種で、国内外で約226万台と、同社にとって過去最大級のリコールとなった。

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 最初に直面した検査不正はいわば国内問題で、世界販売の約7割を北米が占めるスバルにとって業績への影響は軽微だった。しかし昨秋、同社を象徴する「水平対向エンジン」の基幹部品の不具合で大規模リコールを余儀なくされ、様相は一変した。構造上、車からエンジンを取り外して分解し、部品を交換しなければならず、1台当たりの作業時間は2日程度に及んだ。 この費用を主因に、31年3月期連結営業利益予想を従来の3千億円から2200億円に引き下げた。今年2月には工場の一時停止などで再び下方修正し、1850億円と、前期からほぼ半減する水準を見込む。

 生産・販売計画にも影響を及ぼす。2月に31年3月期の世界販売計画を従来の104万1千台から99万6千台に引き下げると発表。3年ぶりの100万台割れで、岡田稔明(としあき)最高財務責任者(CFO)は「残念だが台数は追わず、品質を確保したい」と唇をかんだ。

 10年前の世界販売は50万台超にすぎなかったスバルだが、SUVなど消費者のニーズを満たした車種を中心に北米での拡販に成功。右肩上がりの成長を実現し、販売台数は10年前の約2倍の100万台超で推移していた。北米重視の事業展開が効率性を高め、国内自動車大手で屈指の高利益率を誇ってきた。

 だが、こうした海外偏重のひずみが、品質問題の相次ぐ土壌となった可能性は否めない。

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 弁護士らによるチームが昨秋まとめた報告書によると、スバルは海外を中心に新規投資を振り向ける一方、国内工場は改修を重ねて運用。検査部門も「設備が老朽化していても何とか検査できる場合は予算が通らない」(幹部)という状況だった。

 設備の老朽化を努力で補う対応が繰り返され、「検査員の業務に過大な負荷がかかり、不正や手抜きにつながった」(同)という。 こうした実態について、経営陣が検査員との意見交換や視察を通じ積極的に把握する機会もほとんどなかった。立場の弱い検査部門の判断が、発言力が大きい製造本部などへの「忖度(そんたく)」でゆがめられていた。

 同社は、自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」をいち早く導入し、安全性に優れたイメージを確立。衝突した場合に乗員を守る性能も高く評価されている。品質問題が現時点で、実際の事故などに直結しているわけではないが、ブランドイメージは確実に低下。国内販売は3月まで、17カ月連続で前年を下回っている。

 危機感を強めるスバルは再発防止策を矢継ぎ早に打ち出した。品質管理強化へ5年間で1500億円の投資枠を設定。検査業務をサポートする指導・相談員の配置や教育の充実など、負担軽減策も実施した。

 今月1日には、法令順守の徹底に向けた専門部署も新たに設けた。昨年11月以降、約8千人の従業員と対話を重ねたという中村氏は「改善・改革は着実に進んでいると肌で感じた」と力を込める。

 だが、元芝浦工業大学大学院教授で企業の不正問題に詳しい安岡孝司氏は「検査員がなぜ製造部門に忖度したのかまで解明しなければ、不正は根絶できない」と指摘。昨年12月に完成検査部門を製造本部から品質保証本部に移したことについても、「検査部門の独立性を確保し続けられるか、実効性が問われる」と強調している。

【用語解説】SUBARU(スバル)

 旧日本軍の戦闘機を生産したことで知られる中島飛行機が前身の大手自動車メーカー。大正6(1917)年の創業から100周年を迎えた平成29年の4月に富士重工業からブランド名の「スバル」に社名を変更した。車体を低重心にし安定感のある乗り味を生み出す「水平対向エンジン」や自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」で定評がある。旅客機の部品や自衛隊の練習機の生産も手掛けている。

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