産経ニュース for mobile

27年度の内部留保は過去最高 くすぶる課税案 

記事詳細

27年度の内部留保は過去最高 くすぶる課税案 

更新

 財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益と売上高はともに3四半期連続の前年割れだった。しかし、企業収益は高水準で、企業が余らせた利益である平成27年度の「内部留保」は377兆円を超え過去最高。利益が設備投資や賃上げに回っていない格好で、政府・与党内では内部留保に対する課税の議論もくすぶる。

<< 下に続く >>

 経常利益は前年同期比10・0%減の18兆2639億円、売上高は3・5%減の307兆3674億円だった。円高で輸出産業を中心に収益が悪化したほか、小売業で外国人観光客の消費額の単価が減った。

 3四半期連続の減収減益は東日本大震災後の23年4~12月以来。ただ経常利益は過去2番目の高水準で、財務省は国内景気について「このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と分析した。

 同時に発表した27年度の統計では、内部留保に当たる利益剰余金は377兆8689億円。前年度から23兆4914億円(6・6%)増加して過去最高を記録した。企業は利益を積み増す姿勢を強めている。

 内部留保は、安倍晋三政権発足後に急増。日銀の金融緩和と企業減税などで企業は業績が改善したが、新興国経済減速に伴う世界経済の下ぶれ懸念などのリスク要因に対応するため、利益をため込んでいる。

 安倍政権は企業のもうけを設備投資の拡大や賃上げにつなげ、個人消費を上向かせる「経済の好循環」を目指してきた。しかし、4~6月の統計では、設備投資は前年同期比3・1%増えたものの、伸び率は1~3月期(4・2%)より鈍化。従業員給与はほぼ横ばいの約28兆円だった。

 政府・与党には、法人税の負担軽減などを実現したにもかかわらず、企業が利益を積み上げる現状に不満を抱く向きが多い。企業に設備投資や賃上げを促すため、内部留保に課税すべきだとの声が強まりそうだ。

 ただ、内部留保は現預金だけでなく土地や建物などとしても保有され、簡単には取り崩せない面がある。課税すれば法人税との二重課税になる。

 日本商工会議所の三村明夫会頭は1日の定例会見で、内部留保は新たな設備投資や企業の合併・買収(M&A)に備えた資金だとして「経営に自由度を与える源泉だ。課税は企業のやる気をそぎ、経済原則に反する」と断じた。

プッシュ通知