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ECB量的緩和決定 買い取り額、予想上回るも「効果限定的」の声

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ECB量的緩和決定 買い取り額、予想上回るも「効果限定的」の声

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22日、ドイツ・フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)で、記者会見に臨むドラギ総裁(ロイター=共同) 欧州中央銀行(ECB)による「量的緩和」が決まった。欧州の景気後退が現実味を帯び、世界経済の足かせになると危惧される中、市場予想を上回る資産購入額だった。金融市場の混乱はやや落ち着くとみられるが、25日のギリシャ総選挙など懸念材料も残る。

 「ECBの金融緩和姿勢を力強く拡大する措置で歓迎する」。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、量的緩和を評価するコメントを発表した。

 米金融大手モルガン・スタンレーのゴーマン最高経営責任者(CEO)は滞在先のスイス・ダボスで米メディアのインタビューに答え、「市場にはポジティブ。重要で必要とされる決定だ」と話した。

 ECBの決断を促したのは、市場で拡大していた世界経済への先行き不安だ。昨年12月の欧州の物価上昇率はマイナス圏に転落。スイス国立銀行(中央銀行)が1月中旬、為替介入を突然やめたことも投資家の不安感を高めた。

 米国では昨年10月に金融緩和が終了し、世界の市場で緩和マネーの逆流が懸念されていた。だが、日銀の追加緩和に続き、欧州も量的緩和に踏み切ったことで、緩和マネーが再び膨らむとの期待は高まる。

 ただ、欧州の景気が本格回復するかは不透明だ。今回の量的緩和は「ユーロ圏各国のECBへの出資比率に応じ、各国の中央銀行が実施する」(ドラギ総裁)ため、多くは低金利のドイツの国債で占められる。金利の低下余地は乏しく、緩和マネーを必要とする南欧にはお金が回りにくい。野村証券の岸田英樹シニアエコノミストは「物価を押し上げる効果は大きくない」と分析する。

 米国経済にも不安要素が残る。ユーロ安ドル高が加速すれば、輸入物価の下落や原油安を招き、米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする物価上昇率2%は遠のく。今年半ばと見込まれているFRBの利上げが遅れる可能性もある。

 また、ユーロ安で円も買われやすくなり、日本企業の欧州での価格競争力が低下する懸念もある。

 25日にはギリシャで総選挙が実施され、最大野党の急進左派連合が第一党になれば、緊縮財政の緩和を求めて欧州連合(EU)との摩擦が生じる恐れもある。

 みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは「3月ぐらいまで欧州不安は続くだろう」と分析する。(藤原章裕、アテネ 宮下日出男、ワシントン 小雲規生)

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