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ソーラー機世界一周 3月アブダビtakeoff 「再生エネふさわしい地」7月帰還目指す

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ソーラー機世界一周 3月アブダビtakeoff 「再生エネふさわしい地」7月帰還目指す

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 太陽エネルギーが生み出す電力だけで飛ぶ1人乗りの新型プロペラ機「ソーラー・インパルス2」が来年3月、産油国で知られるアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを発着点に、世界一周に挑戦することが6日までに分かった。機体を開発したスイスの団体「ソーラー・インパルス・ベンチャー」などが明らかにした。UAEのアブダビ首長国政府は近年、環境問題への配慮から太陽光発電に力を入れており、今回の挑戦を機にクリーンエネルギーの重要性を世界にアピールしたいと意気込む。(SANKEI EXPRESS)

蓄電で夜間も飛行

 「再生可能エネルギー(への注力)が確約されているという意味で、発着点に最もふさわしいこの地を選んだ」

 団体の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のアンドレ・ボルシュベルク氏(61)は公式コメントで、今回、アブダビを発着点に選んだ理由についてこう説明した。

 AP通信や米CNNテレビ(電子版)によると、今回の挑戦は「ソーラー・インパルス・ベンチャー」のほか、アブダビの政府系再生可能エネルギー企業マスダールを中心に数十の起業家や企業が支援している。

 団体などによると、ソーラー・インパルス2は重さ2.3トンで、大型旅客機ボーイング747より4メートル長い72メートルの翼と4つのプロペラを持ち、日中はそこに装着した約1万7000枚の太陽電池のパネルで発電し時速140キロで飛行する。日没後はバッテリーに充電しておいた電力で夜間飛行ができ、故障しない限り燃料の補給をしなくても飛び続けられる夢の飛行機だ。

 操縦はボルシュベルク氏と、同じく団体の共同創業者で会長のベルトラン・ピカール氏(56)が交代で担当。アブダビを出発後、離着陸を繰り返しながらアジア、米国、南欧、北アフリカの各地を経て7月にアブダビに戻る。通算飛行日数は25日で、太平洋横断の際は夜間飛行も含めて120時間の連続飛行を予定している。

「1」は米横断成功

 ソーラー・インパルス・ベンチャーは2003年設立。1号機は09年に初飛行し、昨年7月には米大陸の横断飛行に成功した。この1号機を進化させて生まれたのが「2」で、今年4月に初公開され、6月に初飛行した。

 マスダール社によると、今回の挑戦チームは来年1月にアブダビ入りし、約2カ月間、訓練を積むという。

 アブダビ政府はここ数年、地球温暖化の主因といわれる二酸化炭素(CO2)を排出しない低炭素エネルギーとして、太陽光発電や原子力発電の開発に数十億ドルを拠出し、積極的に取り組んでいる。9月28日付経済誌ガルフビジネス(電子版)によると、昨年、建設した世界最大の集光型太陽熱発電所「シャムス1」が稼働し、UAEの2万世帯に電力を供給しているほか、太陽光発電パネルを取り付けるオフィスビルも急増中だ。

 UAEの国務大臣でマスダール社の会長でもあるスルタン・アーメド・アル・ジャベール氏は「共通の開拓精神と長期的視点でもって、よりクリーンな未来に貢献する代替エネルギーの技術開発の促進に努める」との声明を発表した。