PR

【直球&曲球】葛城奈海 「だらだら感」漂う尖閣の今

PR

手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影) 
手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影) 

 今月1日、中国海警局に武器使用の権限を付与する海警法が施行された。4日後の5日夜、石垣島の漁師たちが乗った第一桜丸、恵美丸が尖閣諸島(沖縄県石垣市)へと出漁した。平成23年以降たびたび一緒に尖閣に行ってきたなじみの漁師たちだ。今回の同行が政府によって阻止されたことは到底納得できるものではないが、ここではおく。

 漁師たちは漁をしながら日本文化チャンネル桜のカメラで撮影してくれた。そこに映っていたのは、魚釣島のすぐそばで大きな顔をしている中国公船「海警1301」「海警2502」と、それに対峙(たいじ)しようという気迫をまったく感じさせない海上保安庁の巡視船という、驚くべき慣れ合いの光景だった。

 24年9月の国有化までは、上陸こそ禁じられていたものの、手を伸ばせば島に届くくらい近づくことができた。漁師たちは島の目前で、潜り漁も行っていた。国有化後、島に近づこうとすると「1海里(かいり)(1852メートル)以内への接近」を海保に阻まれるようになり、漁師たちも潜り漁ができなくなった。そうやって、日本国民を遠ざける一方で、国有化を機に頻繁に現れるようになった中国公船は、領海内どころか、島々の至近をわが物顔で遊弋(ゆうよく)している。そんな実情を見せたくないのか26年以降、私たちは出港さえ認められなくなった。

 恵美丸が「海警1301」の後ろにつけたが、公船は何の反応もしない。そのまま左舷を追い越すように航行すると、しばらくして海保の巡視船がゆっくり間に入ってきた。かつてのように警告の汽笛を鳴らすこともなく、漁船を守るポーズをしている感じだ。映像を見た元海上保安官の一色正春氏は言った。「このだらだらとした空気感は非常にまずいですね。彼らが突然牙をむいたとき、この緊張感では対応できないでしょう」

 政府は6日、首相官邸の情報連絡室を官邸対策室に格上げした。が、現場の実態を知れば、これまたアピールのための「やってるやってる詐欺」にしか見えない。尖閣を竹島にしないために、政府には具体策の断行を望む。

【プロフィル】葛城奈海

 かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書(共著)に『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)。

この記事を共有する

関連トピックス

おすすめ情報