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【主張】那覇の孔子廟判決 「違憲」の独り歩き避けよ

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 那覇市にある「孔子廟(びょう)」の敷地を市が無償提供していることに対し、最高裁大法廷は、憲法の政教分離の原則に反するとの判断を示した。

 憲法20条や89条は、国や自治体による、宗教活動や宗教的組織への公金支出を禁じている。施設の性格や利用実態などを総合的に判断して、無償提供を認めなかった。

 だが「違憲」が独り歩きしては困る。今回の判決を盾に、社寺の伝統行事などにまで目くじらを立てるような「政教分離」の過熱化は避けたい。

 儒教の祖、孔子を祭る廟をめぐる憲法判断が注目されていた。大法廷の多数意見は、同廟の宗教性を認め、市有地の無償提供は特定の宗教に便宜を提供していると評価されてもやむを得ない、などと判じた。

 問題となった廟は、那覇市中心部の公園の一角に建つ。「久米至聖廟(くめしせいびょう)」と呼ばれ、14世紀末に中国から渡来し、現在の那覇市久米地区に住んだ「久米三十六姓」の子孫でつくる一般社団法人久米崇聖会が管理している。

 平成25年の建設で、公園を管理する那覇市は月額約48万円の使用料を全額免除にした。

 孔子廟は全国にあるが、湯島聖堂(東京)や足利学校(栃木)のように国や自治体が所有する歴史的施設もあり、設立経緯などが異なる。今回の違憲判決の影響は限定的とみるのが妥当だろう。

 政教分離をめぐって、昭和52年の津地鎮祭訴訟の最高裁判決では「目的効果基準」が示された。「目的が宗教的意義を持ち、効果が特定宗教を援助、助長あるいは他の宗教を圧迫するものでない限り、憲法違反とはいえない」との緩やかな解釈を示したものだ。

 政教分離規定の厳格な適用は好ましくない。たとえば、地域社会に伝わる文化、行事は伝統的な宗教と密接な関係にある。

 平成22年に北海道砂川市の「空知太(そらちぶと)神社訴訟」で最高裁は、市有地を神社に無償提供したことを違憲とした。だが、このとき合憲とした裁判官の反対意見が「神社は地域住民の生活の一部になっている」などと指摘し、違憲とした多数意見について「日本人の一般の感覚に反している」と述べていたのはうなずける。

 首相ら公人の靖国神社参拝や真榊(まさかき)奉納に「政教分離」を持ち出す愚も避けるべきだ。

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