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【一筆多論】より良い選択へ考えたい 佐藤好美

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新型コロナウイルスワクチン接種会場の運営訓練=1月27日午後、川崎市幸区(川口良介撮影)
新型コロナウイルスワクチン接種会場の運営訓練=1月27日午後、川崎市幸区(川口良介撮影)
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 選ぶことには、迷いがつきものだ。ゼロリスクはないし、分からないこともある。今ある根拠をもとに判断するしかないと思う。

 川崎市で先月、新型コロナウイルスのワクチンを集団接種するための訓練が行われた。

 住民役は、患者を演じるスペシャリストで、「模擬患者」と呼ばれる人たち。通常は医学生らの診察トレーニングで相手役になる。

 訓練では、「卵アレルギーがありますが、大丈夫ですか」などの質問が出たという。

 良い質問だ。いかにもありそうだが、答えるのは容易でないと思う。

 接種が始まるファイザー社のワクチンには卵は入っていない。

 ただ、例えば卵アレルギーのある人は、副反応の一つである重いアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こしやすいか、と問われれば明言は難しい。

 米国国立研究機関の博士研究員、峰宗太郎医師(免疫学)は既にモデルナ社のワクチンを接種した。「卵アレルギーがアナフィラキシーを起こす可能性は基本的にはないだろう」とし、アナフィラキシー自体も「アドレナリン投与など迅速な対応をすれば後遺症が出たり、命にかかわったりせずに済む」と言う。

 ファイザー社のワクチンによるアナフィラキシーの発生率は20万分の1とされる。加えて、発症しても対処できる、というのが専門家らの見立てだ。

 厚生労働省は接種場所に救急処置用品を常備するよう自治体に求めている。

 高齢者の間では新型コロナウイルスのワクチンを打つか打たないかが、話題である。

新型コロナウイルスワクチン接種会場の運営訓練=1月27日午後、川崎市幸区(川口良介撮影)
新型コロナウイルスワクチン接種会場の運営訓練=1月27日午後、川崎市幸区(川口良介撮影)
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 どのくらいの人が接種するかは分からない。複数の自治体が「65%」と見込んで準備している。「インフルエンザの接種率よりも、少し高いのではないか」ということらしい。

 私の80代の両親は、父が「真っ先に受けたい」派で、母は消極的だ。仲の良い姉や妹が「受けない」派であることに影響された。夫よりも姉妹の意見に左右されるところが興味深いが、人の選択に倣うのは感心しない。リスクは人によって違うからだ。

 例えば感染する可能性は活動的な人は高いが、家にこもりがちなら低い。ただし、引きこもれば、コロナ以外で健康を損なうリスクもある。

 感染の重症化リスクも人による。年齢による違いは顕著だ。80代以上の人が新型コロナウイルスにかかった場合、致死率は1割を超える。元気な高齢者なら、副反応のリスクとはだいぶ差がある気がする。

 新型コロナの重症化リスクは持病の有無によっても違う。がんや慢性呼吸器疾患、脳血管疾患などがあると致死率が高い。糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙も比較的高い。

 逆に言えば、リスクの高い人ほど一般的に接種のメリットは大きい。

 副反応には、接種後の痛み、疲労、頭痛などがある。接種から時間がたって生じる副反応や影響は現時点では分からない。

 分からないことが不安だ、という声はある。ただ、医学に「分からないこと」はつきものだ。ワクチンだけでなく、治療も同じだ。だから、今ある根拠を並べて考える。自分のリスクを把握し、よりよい選択を自分でしていくしかないと思う。(論説委員)

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