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【思ふことあり】スポーツジャーナリスト・増田明美 命を守り抜く苦労に感謝

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陸上自衛隊員による除雪が行われた秋田県横手市の市立栄小=7日午前
陸上自衛隊員による除雪が行われた秋田県横手市の市立栄小=7日午前

 冷え込み厳しい夕刻、博多座の横の歩道にさしかかると雪が積もっていた。「これじゃー、走れない。雪のない道を選んでよ!」と、ついつい道案内役の夫にあたってしまった。1月7日、福岡市に出張し、ジョギングに出かけたときのこと。その日の積雪は1センチ。雪国の皆さんには失笑を買ってしまいそうだ。

 でも笑ってはいられない。この冬は大雪の被害が相次いでいる。記録的な豪雪により、高速道路や幹線道路での立ち往生や集落の孤立など、大変な状況である。そんなときに頼りになるのが自衛隊だ。都道府県知事の災害派遣要請を受け、さまざまな活動に従事してくれている。

 長時間立ち往生した車に燃料、水、食料などを届け、除雪して進路を作った。障害者施設や高齢者施設をはじめ、自力での作業が難しい家屋の屋根の雪下ろしも。昼夜を問わずに行う、命を守る活動は過酷だと思う。隊員の皆さん、本当にありがとうございます。

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 秋田県鹿角市に住む後輩がいる。ドイツのシュツットガルト世界陸上選手権(1993年)の女子マラソンで日本人初の金メダルを獲得した浅利純子(現・高橋純子)さん。ふるさとで3人の男の子を育てるお母さんだ。

 秋田県南部では1月7、8日の暴風雪で電線が切れたことなどにより約6万7千世帯で停電が発生した。心配して電話すると、「県北部の鹿角市は大丈夫でした。でも今年の雪はすごいです。一時は1メートル以上積もりました」と。

 朝はマイナス10度を下回る日もあるというので、暖房はどうしているのか聞いてみた。「ファンヒーター用の灯油は大きなタンクがあるので1カ月以上もちます。ただ停電になったら動きませんから役に立ちませんね」と浅利さん。

 「オール電化の家も増えていますから、長時間停電したら大変ですよ」という言葉は命の危険を感じさせるものだった。停電したときのためにカセットのガスボンベを使用する暖房器具を用意しているそうだが、それも数日が限界とのこと。北国の厳しさを改めて知った。

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 この冬は厳しい寒波の影響で電力需給が逼迫(ひっぱく)している。とくに1月12日の関西電力では使用率99%。一歩間違えば大規模停電が起きかねないレベルで、各電力会社から送電してもらって乗り切った。

 その日の大阪では、朝から雪で一日中曇り空。最高気温は5度。日照は終日ゼロで、風速は1メートル台で推移。太陽光も風力も期待できず、火力はフル稼働。しかも日本の発電量の4割を占めるLNG(液化天然ガス)が生産国の設備トラブルや、コロナ禍の影響によるパナマ運河の通関手続き遅延などの影響を受け、供給不足が生じている。今後も綱渡りが続く。総合エネルギー統計(2017年確定値)によると、日本のエネルギー自給率は9・6%。9割を輸入に頼っており、それは化石燃料である。脱炭素社会を目指す以上、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの比率を増やすことはもちろん大事だが、発電量が不安定という短所もある。そればかりに頼って安定供給をないがしろにすれば、人命を危険にさらすことになってしまいかねない。

 浅利さんの話の続きだが、「冬場は車のガソリンをいつも満タンにしています。吹雪の中で立ち往生してガソリンがなくなったら死んじゃいますからね」。電力をはじめ、エネルギー供給に関わる皆さんに感謝の気持ちでいっぱいになる。

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