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【思ふことあり】スポーツジャーナリスト・増田明美 時代の激変にゆっくりと前進

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山陽女子ロードレース大会ハーフマラソン3位の一山麻緒(左)と話す増田明美氏=20日、岡山市(鳥越瑞絵撮影)
山陽女子ロードレース大会ハーフマラソン3位の一山麻緒(左)と話す増田明美氏=20日、岡山市(鳥越瑞絵撮影)

 昨年6月、ラジオ番組でご一緒したノムさん(野村克也さん)が「時代と年齢には勝てないね」とボヤいていたのを思い出した。12月7日のIOC(国際オリンピック委員会)理事会で、パリ五輪にブレイクダンスが採用されることが決定したのだ。東京五輪にサーフィンやスケートボードが採用されたときの驚きから4年後にまた「へぇー」と思うのは私の考えが古いからだろう。

 オリンピック憲章には「万人向けのスポーツの育成を促進する」とあり、サーフィン、スケートボード、ブレイクダンスは若者にすごく人気がある。IOCの方針は分かるのだが、なぜだか腑(ふ)に落ちない。

 以前、荒木田裕子さん(東京五輪・パラリンピック組織委員会理事)が「IOCが五輪競技に加えたいのは若者からの支持、都市型であること、男女平等の3つです」と話していた。エンターテインメント性が高い競技もアスリートは厳しい練習を積み重ねているのだ。オリンピックは若者が主役、時代とともに変わっていくものだ、と自分に言い聞かせた。

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 今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、急激に変わってしまったことが多い。例えば会議。会長を拝命している日本パラ陸上競技連盟は事務所が大阪市にあり、理事会は大阪で開かれていた。全国各地から理事が集まっていたが、コロナ禍で春から会議はリモートに。一人一人が自分の意見をしっかり言いやすくなり、活発に議事を進めることができた。交通費、貸会議室料、移動時間、すべてゼロ。年に一度は集まるにしても、普段の会議はリモートでいいかもしれないと思う。

 そして仕事も自宅で行う機会が増えた。NHKラジオ番組「増田明美のキキスギ?」に毎週出演しているが、4、5月は局員以外、NHK放送センターに入れなくなった。急いでマイクや防音材を買ってリビングを簡易スタジオにしてインターネット回線で生放送に出演。若干のタイムラグがあり、話しにくかったが、なんとか乗り越えた。

 秋以降、私はNHKのスタジオ、ゲストはリモートでお話をうかがう形になったため、山中伸弥さんや野村萬斎さんなど、お忙しい方にも職場や自宅などから出演していただいた。リモート化、オンライン化は不可逆的で、加速していくだろう。私も何とか時代にしがみついている。

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 時代と対峙(たいじ)する動きもある。政府の第5次男女共同参画基本計画案で夫婦別姓の問題に焦点が当たっている。選択的夫婦別姓(別氏)制度について「さらなる検討を進める」という表現にとどまり、あまり積極的には進まない感じだ。

 各世論調査ではおおむね7割が賛成している。でも制度が導入されたからといって、7割の人が別姓を選ぶわけではない。選べるようにするほうがいいと思っているだけである。結婚せずに一緒に生活する事実婚も珍しくない。そして3組に1組が離婚する時代ともいわれる。制度だけが取り残されて、実態はどんどん先に進んでしまっている。

 インターネットが商業化された1990年代後半、時代変化のスピードが加速し、人の7倍の速度で成長するイヌに例えて「ドッグイヤー」と呼ばれた。さらには18倍のネズミに例えて「マウスイヤー」とも。2020年、子年が終わろうとしている。21年は丑年。猛牛にはなれそうにないが、時代にゆっくり対応しながら前進していきたいと思う。

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