PR

【新聞に喝!】米大統領選後の構造変化に注意を ブロガー・投資家 山本一郎

PR

バイデン前米副大統領=10日、デラウェア州ウィルミントン(AP=共同)
バイデン前米副大統領=10日、デラウェア州ウィルミントン(AP=共同)

 米大統領選挙ではおそらく民主党のジョー・バイデン氏が勝ち、トランプ大統領も粘るかもしれませんが大勢は決したとみてよいでしょう。何をするか予測がつかないトランプ2期目よりも、失言癖はありつつも落ち着いた政権運営をするであろうバイデン氏のほうが同盟国・日本としては常識的な外交の枠内に収められるのではないかとみられています。産経新聞でも新バイデン政権の人事について「バイデン氏の政権移行チームがホワイトハウスの上級職員の陣容を発表」(「産経ニュース」18日)と報じていますが、当初目された人事もなくおおむね落ち着いており、バイデン政権は奇想天外な策を仕掛けるよりも米国が内外に抱えた諸問題について腰を据えて対策を取っていくのではないかと期待されます。

 一方で、わが日本の経済外交は着実に成果を挙げ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に続いて地域的な包括的経済連携(RCEP)も調印され、中国・韓国やアジア、オセアニア地域も含めた自由貿易の枠組みの主要国となりました。多国間ではなく1対1の協定を重視したトランプ政権からの理解は得られず、一連の枠組みから米国はこぼれてしまいましたが、米中対立が通商、知的財産、データ通信、航空宇宙など各方面の大構造を転換している最中に日本は重要な役割を担うことになります。

 東アジアの安全保障に目を転じれば、同様に産経新聞が「対中戦略に不安 首相『インド太平洋』に言及せず」(同14日)と報じた通り、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の枠組みに米国、インドも加わり、自由・民主主義陣営の一角として日本が引き続き主要なポジションを担うことも菅義偉(すが・よしひで)首相により明言されました。しかしながら対中国で融和的対応を進める菅首相の態度に対しては、トランプ政権だけでなく、米民主党も含めた超党派議会から真意を訝(いぶか)しむ声も聞かれます。安全保障政策において、まだ大統領就任前のバイデン氏がどんな方針を打ち出すか分からない中で決め打ちはむつかしいと菅首相は判断したのかもしれません。

 どちらかというと日本の安全保障政策の遂行に熱心で、トランプ政権との親密さをテコにリードしてきた安倍晋三前首相とのコントラストはありつつも、日本を取り巻くこの大構造の変化について、メディアとして行く末を明らかにする議論を喚起していってほしいと思います。

【プロフィル】山本一郎

 やまもと・いちろう 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所事務局次長・上席研究員。次世代基盤政策研究所理事。

この記事を共有する

関連トピックス

おすすめ情報