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【主張】新社会保障会議 「嵐」に備えた給付抑制を

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 安倍晋三首相が、年金、医療、介護などの社会保障制度を全世代型に転換するため、有識者を交えた検討会議を設けると表明した。今週にも初会合を開く。

 これまで高齢者重視だった仕組みを、子育て世代も含めた全世代型に転換することは妥当だ。だが、耳に心地よい話ばかりでは実現できない。幼児教育の無償化など給付の充実が先行している。見合う負担を議論し、具体策をまとめなくてはならない。

 今、このタイミングで制度改革が必要なのは、高齢者人口の伸び率が令和4年から急激に高まり、7年には団塊の世代がすべて75歳以上になるからだ。伸び率が低い今年から3年間は「嵐の前」だ。その間に制度改革をやり終え、世界最高の高齢化率に耐える仕組みを準備しておかねばならない。

 会議では、75歳以上の人が医療を利用したときの窓口負担や、介護の利用者負担を、原則1割から2割にする案も検討する見通しだ。高齢者にも応分の負担が求められるのは当然だろう。

 年金制度では、パートで働く人への厚生年金の適用拡大などが挙がっている。非正規雇用で働く人への適切な給付を実現することも「全世代型」の一つである。

 ただ、こうした議論だけでは不十分だ。例えば医療費増加の背景には、高齢化よりも医療の高度化がある。1回で3000万円を超える血液がんの治療薬が登場し、年明けには1億円超の薬剤の登場もささやかれる。個々の負担割合を論じるだけでは持続可能な社会保障制度にはならない。

 今こそ、給付範囲の見直しの議論に踏み込むべきだ。公的給付の役割は大きなリスクに対応することだ。その観点からすると、私たちは日常的な薬などにも公的給付を用い過ぎてはいないか。

 たとえば湿布薬や花粉症薬、保湿剤は本当に、すべて公的給付の対象にすべきだろうか。重いアレルギーやがんの患者に目配りしつつ、小さなリスクは自助で行う医療への転換が必要である。

 安倍首相には、厳しい改革であっても、決めたことを着実に果たすようクギを刺しておきたい。消費税では「今後10年ぐらい上げる必要はない」とし、負担増を封印した。それならば、給付抑制は不可欠である。厳しい議論が、国民一人一人の人生に嵐が襲ったときの安心を保障する。

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