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【主張】米補佐官解任 米外交の危うさ憂慮する

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 トランプ米大統領が、ボルトン氏を国家安全保障問題担当の大統領補佐官から解任した。

 ボルトン氏は前任のマクマスター氏の更迭を受け昨年4月に就任し、北朝鮮の核問題などで圧力路線を唱えてきた。

 トランプ氏へ苦言をいとわなかったボルトン氏の退場を契機に、政権の対北姿勢が一段と軟化する懸念がある。日本の安全保障環境に与える影響を憂慮せざるをえない。

 トランプ氏は、ボルトン氏と意見の不一致があったとし、特にボルトン氏が北朝鮮に完全非核化を迫るため「リビア方式」の適用を主張したことを理由に挙げた。

 「リビア方式」は、核完全放棄が確認されると同時に制裁解除を行うものだが、金正恩朝鮮労働党委員長が強く反発したという。

 トランプ氏は対話を後退させた張本人のごとくボルトン氏を批判したが、筋違いである。非難されるべきは金正恩氏にほかならないからだ。

 北朝鮮は国連安保理決議に違反する短距離弾道ミサイルの発射を繰り返し、トランプ氏はこれを容認している。北朝鮮が「人間のくず」と呼んで警戒したボルトン氏の解任はさらなる誤ったメッセージを北朝鮮に与え、核ミサイル開発に拍車がかかる恐れがある。

 ボルトン氏は日本や欧州諸国との同盟重視を唱え、対北朝鮮など融和策に傾きがちなトランプ政権のストッパー役でもあった。タカ派とも称されたボルトン氏の圧力外交が、一定の成果を挙げていたのは評価されてよい。彼ほど日本人拉致問題を熟知し、被害者家族に深い同情と支援を寄せてきた高官はワシントンにいない。

 トランプ政権では、国防長官だったマティス氏が意見の対立を理由に今年1月に辞任した。大統領の周囲が「イエスマン」ばかりとなり、再選を意識するトランプ氏が目先の成果を狙った外交にますます傾斜するのではないか。

 米国の歴代政権は、時間稼ぎを得意とする北朝鮮にだまされ続けてきたといってもよい。その結果が北朝鮮の核保有と弾道ミサイル開発の成功である。ボルトン氏の退場で、米朝交渉が北朝鮮ペースで進む懸念が拭えない。

 安倍晋三首相は、今ではトランプ氏に直言できる数少ない政治指導者である。対北融和になんら成算はないことを、大統領にしっかり伝えてもらいたい。

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