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【主張】豚コレラ発生1年 官邸主導で感染拡大防げ

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 豚コレラが再発生して1年がたつ。愛知や三重など1府6県に感染拡大を続け、収束のメドは立っていない。

 豚コレラが発生した府県や隣接県、養豚農家の危機感は強い。農林水産省や自治体に対策を委ねている状況にはない。

 養豚業という畜産業の存立に関わる危機的事態である。菅義偉官房長官が「極めて重大な局面を迎えている」と発言してからも1カ月がたつ。

 農水省の防疫対策本部を首相官邸に格上げし、環境省など省庁横断で感染拡大阻止に向け、あらゆる手立てを尽くすべきである。

 豚コレラは昨年9月9日に岐阜県の養豚場で26年ぶりに発生が確認された。今月5日にも岐阜県中津川市の養豚場で発生し、計40例となった。同日開かれた岐阜、愛知、三重の各県知事と名古屋、浜松両市長による東海三県二市知事市長会議で、岐阜県の古田肇知事は「国家レベルの危機事案」との認識を表明した。古田氏は、ワクチン接種を国の負担で実施することなどを提案した。

 農水省も5日、豚コレラの防疫対策本部を開き、今後の対応策をまとめた。

 注目したいのは、農水省がマーカーワクチンと呼ばれる新型ワクチン接種の検討を対策本部で初めて明らかにしたことだ。ドイツ製のマーカーワクチンは、感染豚とそうでない豚の区別がつき、流通を限定させなくて済む。

 ただ、国内未承認で海外でも使用実績がないことから効果の検証は不十分だ。食品安全委員会による評価手続きが必要で、手続きに時間がかかる難点もある。試験的な接種でデータをとり、効果を確かめるのも一法だ。

 マーカーワクチンに白羽の矢が立ったのは、通常のワクチンを接種すれば、抗体検査で接種豚とウイルス感染豚の区別が難しいためでもある。ウイルス感染した豚を接種豚とともに出荷すれば、ワクチンを使っていない地域の農場を汚染する可能性もある。接種豚やその豚肉が地域から出ないよう流通制限も課せられる。

 政府はマーカーワクチンに先立って、通常のワクチン接種を検討中だ。これを求める養豚農家の声は高まっている。使用に当たっては、接種の利点と欠点を丁寧に養豚農家に説明していかねばならない。水際やイノシシ対策、養豚場の衛生管理強化も急がれる。

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