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【主張】鹿児島の虐待死 繰り返す悲劇を猛省せよ

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 繰り返される悲劇に、反省はないのか。

 鹿児島県出水市で4歳の大塚璃愛来(りあら)ちゃんが死亡した。死因は溺死だった。鹿児島県警は暴行容疑で、母親の交際相手で同居の日渡(ひわたし)駿容疑者を逮捕した。璃愛来ちゃんは繰り返し虐待を受けていたとみられるが、容疑者は「しつけだった」と供述している。

 県警は母子が以前に住んでいた薩摩川内市で3月から4月にかけて計4回、璃愛来ちゃんを保護しており、児童相談所に一時保護の必要性を伝えたが、児相は母親の育児放棄(ネグレクト)を認定しただけで、一時保護は行わなかった。転居先の出水市は7月から8月にかけ、複数の病院から璃愛来ちゃんの体に複数のあざがあるとの情報を得ながら、県警や児相に伝えていなかった。

 そのあげくに、璃愛来ちゃんは亡くなった。大人がそれぞれの職責を全うしていれば、救えたはずの命である。

 昨年3月、東京都目黒区で両親から虐待を受けていた5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」と書いたノートを残して死亡した。

 事件を受けて、安倍晋三首相は「痛ましい出来事を繰り返してはならない。やれることは全てやるという決意で取り組んでほしい」と述べた。

 だが1月には千葉県野田市で10歳の栗原心愛(みあ)さんが虐待を受けて亡くなった。学校のアンケートに父親からの暴力を訴えたが、市教委は恫喝(どうかつ)に屈して父親にアンケートを開示してしまった。6月には札幌市で2歳の池田詩梨(ことり)ちゃんが衰弱死し、母親と交際相手の男が傷害容疑で逮捕された。いずれのケースでも児相間や警察、市との情報共有不足が指摘された。首相の檄(げき)は、全く届いていない。

 6月には改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が成立した。親権者らによる「しつけ」としての体罰禁止を明文化し、一時保護する児相の「介入」機能を強化する。だが、施行は来年4月だ。

 安倍首相は児相について「躊躇(ちゅうちょ)なく一時保護に踏み切れるよう、大幅増員で必要な専門人材を配置する」とも述べたが、現実の事件に追いついていない。

 法の施行や人員増を待っていては現実に対処できない。まず、何が何でも子供の命を救うのだという気概、意識改革が必要だ。

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