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【主張】ふるさと納税 総務省は襟正し見直しを

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 事実上の国の敗北といえよう。ふるさと納税制度の適正な運用のため、総務省は襟を正さなければならない。

 国地方係争処理委員会は、総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を外したことは再検討が必要とした。

 ふるさと納税では自治体の豪華な返礼品競争が過熱し、問題になった。このため返礼品にかかる費用に条件をつけた新制度が6月に始まった。総務省は過度な返礼品で多額の寄付を得た泉佐野市や静岡県小山町など4市町を除外し、泉佐野市が審査を申し出ていた。

 寄付によって自治体を応援するのがふるさと納税の趣旨である。地場産品でもない金券類などを提供するのはそぐわない。きちんとしたルールが必要なのは言うまでもない。規則に従わない自治体には厳しく臨む必要もある。

 ただし法の運用はあくまでも厳正であるべきだ。新制度が始まる以前の実績で一方的に除外とするだけでは、法は施行以前にさかのぼって適用されないとする法の一般原則に反しかねない。係争処理委員長が「新制度の目的は過去の行為を罰することではない」としたのは、もっともである。

 平成20年に始まったふるさと納税の制度に欠陥があったから、過剰な返礼品の競争を招いた面もある。見直しも後手に回りすぎている。制度設計や見直しがいいかげんでありながら、上意下達式に自治体を従わせるのならば、驕(おご)りと言われても仕方あるまい。4市町から事前に事情を聴かず一方的に除外を決めた態度が、自治体の反発を招いたともいえよう。

 もっとも、今回の委員会の判断は、度を越えた返礼品を乱発してきた自治体の行為を正当化するものではない。委員長は泉佐野市のやり方は「制度の存続が危ぶまれる状況を招いた」とも述べた。

 新たな制度の開始前、泉佐野市は「閉店キャンペーン」などと銘打ち、開き直ったような寄付金集めに走った。このような姿勢は地方を応援するふるさと納税の目的から逸脱している。制度の趣旨を汲(く)んで運用している自治体から見れば身勝手としか映るまい。

 総務省は驕ることなく自治体と連携し、制度も不断に見直す。自治体は地場産品や観光資源の開発、情報発信に努める。国と地方の両輪が回転してこそ、節度を持ってふるさとを応援できる。

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