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【主張】英議会閉会 「秩序ある離脱」に英知を

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 ジョンソン英首相がエリザベス女王の大権で9日の週から約1カ月間の議会閉会を決めた。英国の欧州連合(EU)離脱問題で、ジョンソン氏に異を唱える議会内の動きを封じるためである。

 強硬離脱派のジョンソン氏は「合意なき離脱」も辞さない構えだ。いまだ離脱の賛否が与野党双方で入り乱れ、メイ前政権時から何度も膠着(こうちゃく)状態に陥った議会を力ずくで抑え込むものである。

 極めて乱暴な手法であり、議会制民主主義の母国として恥ずべき暴挙だと言わざるを得ない。

 ハモンド前財務相が「著しく反民主主義的」と非難し、バーコウ下院議長が「憲法違反」と難じるなど、批判が噴出するのも当然だろう。

 スコットランドのデービットソン保守党代表は辞任を表明している。閉会を機に政治が一層の混乱に陥り、分断が広がりかねないことを懸念する。これを何としても回避しなければならない。

 日本を含む国際社会が望むのは「秩序ある離脱」だ。ジョンソン氏には、そのためのEUとの合意に全力を尽くす責務がある。

 ジョンソン氏は、合意がなくても10月31日に離脱すると主張してきた。EU側が折れなければ合意なき離脱でも構わない立場だ。

 最大の対立点は英領北アイルランドとアイルランドの国境管理問題である。英国とEUは離脱後に新たな自由貿易協定(FTA)を結ぼうとしている。その締結まで国境を設けないため、英国全土をEUの関税同盟に残す「安全策」を講じる。それがメイ前政権とEUの合意だが、英議会は今もこれを承認していない。

 ジョンソン氏の主張は安全策の削除である。そうであるなら自ら対案を見つけてEUと合意し、議会承認を得る必要がある。

 これまでEU側は英国との再交渉や合意の修正を拒んできた。だが、ドイツのメルケル首相は最近のジョンソン氏との会談で、「国境管理の具体策があれば安全策は不要」と述べ、英国が30日以内に代案を出すなら譲歩する可能性を示した。再交渉を含めて、双方の柔軟な対応が求められよう。

 ジョンソン氏は税関申告の電子化や通関検査の簡素化などで国境管理に対応しようとしている。これでEU側は納得するのか。そのための現実策に知恵を絞らなければならない。

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