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【主張】日米交渉「合意」 自由貿易拡大につなげよ

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 日米首脳会談で貿易交渉が大筋で合意した。9月にも協定に署名する。両国が交渉開始を決めてから、わずか1年で合意に達する異例のスピード決着となった。

 来年の大統領選を控えて成果を急ぎたい米国側と、交渉長期化で協議対象の拡大を避けたい日本側が早期に幕引きを図ることで一致したといえる。

 米中の貿易摩擦が激化し、世界の金融市場に動揺が走る中で、難航も予想された日米間の貿易交渉が大筋で合意した意義は極めて大きい。最終合意に向けて交渉の詰めを急いでほしい。

 そのうえで日本は、米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の活用なども含め、国益につながる自由貿易の拡大にこれからも努めねばならない。

 今回の合意では、米国産牛肉や豚肉で関税の段階的な引き下げで決着した。いずれもTPP交渉で合意した水準内に収めた。飼料用とうもろこしの輸入を拡大するが、バターの輸入枠などは見送る方向だ。一方、日本側が求めていた一般乗用車の関税撤廃も当面見送る。

 日本側は自動車の関税分野で譲歩する代わりに、米国の関心が高い農産品分野の輸入拡大に一定の歯止めをかけた格好だ。TPP発効に伴い、すでに加盟国の日本向け牛肉は関税が下がり始めている。日本への牛肉輸出拡大を目指す米国は、交渉を早期決着させ、その成果を国内向けにアピールする狙いがあるのだろう。

 米中の貿易協議が紛糾し、制裁関税の応酬となっている。両国が新たな関税発動を表明したことで、26日の日本の株式市場も大きく値を下げた。世界経済への悪影響が強まる中で、日米交渉が合意までこぎ着けた成果は評価できる。両国首脳の良好な関係が交渉決着につながったといえよう。

 ただ、懸念も残る。日米交渉はまだ大筋合意の段階であり、米国がさらに要求水準を高める恐れも指摘されている。とくに米国は日本からの自動車輸出に関心が強く、数量制限や追加関税に踏み切るリスクは消えていない。

 日本は米国との貿易交渉を妥結するには、米国による追加関税などの発動回避が前提との立場だ。最終合意まで楽観せず、米国に制裁回避の確約を得るなど最後まで懸念払拭に努めるべきだ。それを抜きにした合意は喜べない。

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