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【主張】核のごみの始末 宿題の提出は遅らせない

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 課題が示されてから17年になるにもかかわらず、いまだにめどがついていない宿題がある。

 原子力発電所の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物(HLW)をガラスで固めて地下の岩盤中に埋設する「地層処分」の用地が決まらないままなのだ。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)と経済産業省が、処分場の建設を検討してくれる市町村を探しているが、平成14年の公募開始以来、正式な申し出は1件もない。

 この問題は、原発による電力で経済発展を遂げたことを振り返りつつ、国民全体で考えなければならないテーマである。

 地層処分は地質条件に恵まれたフィンランドなどで進んでいるが、同様に日本にも適した地質があることを示す「科学的特性マップ」が2年前、経済産業省によって公表されている。

 昨年には地層処分事業の安全性と信頼性を示す「包括的技術報告書」をNUMOが作成した。

 だが、安全性と風評被害に対する国民の警戒心解消には至っていないのだ。総論で地層処分が必要であることは理解できても身近な立地は困るという、人間心理の壁も越えられないでいる。

 HLWは数万年にわたって、地表の生活圏から隔離しておかねばならない。それには地上の施設で人間が管理するよりも、地下環境に備わる自然の保存力に委ねた方が確実なのだ。

 具体的にはガラス固化体を厚い鋼鉄容器などで多重に囲い、地下300メートルより深い地下の岩盤中のトンネル内に埋める計画だ。

 NUMOと経産省は、今夏も地層処分への国民の理解促進のために対話型全国説明会をはじめとする各種の活動を展開している。

 夏休みの子供たちを対象にした科学イベントも用意されている。地層処分は100年がかりの事業なので、若い世代への情報提供が欠かせない。その必要性を踏まえての学習の機会の提供だ。

 地層処分の用地選定は、地元の意見を尊重しつつ段階的に進められる。国は現行のエネルギー基本計画で「複数の地域による処分地選定調査の受け入れを目指す」としている。将来の地域の発展を構想する市町村からの意欲ある申し出を期待したい。

 そろそろ、国家的宿題へのめどをつけるべき時期である。

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