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【主張】東京五輪まで1年 高揚感保ち開幕迎えたい 誇れる遺産を後世に渡そう

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 2020年東京五輪は、1年後の7月24日に開幕する。

 五輪・パラリンピック両大会の名誉総裁に天皇陛下がご就任になり、国を挙げての開催準備はこれから総仕上げに向かう。

 首都に五輪を迎えるのは56年ぶりだ。半世紀に1度、人によっては一生に1度の祭典になるかもしれない。

 大会を盛り上げ、成功へ導くには、万全の準備だけでは十分でない。「日本の五輪」として、国民一人一人が期待感と高揚感を保ち続け、聖火を迎えたい。

 ≪「金30個」の目標達成を≫

 スポーツ界は国民の期待に応えられるのか。五輪を通じて社会にどんなレガシー(遺産)を残すのか。東京五輪が投げ掛ける問いは、この2点に尽きる。

 日本オリンピック委員会(JOC)は「金メダル30個」を掲げている。前回の東京五輪と2004年アテネ五輪で得た16個からほぼ倍増となる壮大な目標だが、JOCの山下泰裕会長は「達成は十分可能」と意欲的だ。

 この1年で、競泳や体操、卓球など有力種目にかげりがみえる。対戦競技では各国による日本勢の研究と対策が進んだ。日本の競技力が認められた証しで、決して悲観することはない。

 世界の勢力図は1年もあれば大きく動く。今夏以降に国内で行われる世界選手権などのテスト大会を通じて、日本勢には存在感を示してもらいたい。

 陸上男子100メートルでは、6月に9秒97の日本新記録を出したサニブラウン・ハキームに続き、7月には小池祐貴も9秒98を出した。前日本記録保持者の桐生祥秀と合わせて9秒台のスプリンターが3人もいる活況を、数年前まで誰が想像できただろう。

 東京五輪では若者に人気の「都市型スポーツ」が新種目として加わる。スポーツクライミングやスケートボードなど娯楽性に富む種目の採用は、若者のスポーツ離れを危惧する国際オリンピック委員会(IOC)の肝煎りだ。

 かつての「スポ根」ではなく、スポーツを楽しむ選手の姿は、五輪の形を大きく変えるに違いない。その転換点となる歴史的使命が、東京五輪にはある。

 五輪を通して社会の形をどう変えるか。変革のモデルこそ、後世に誇れるレガシーとなるのではないか。それでこそ、自国で五輪を開く意味もある。

 都心部の交通需要の抑制は、選手や観客の輸送といった円滑な大会運営に欠かせない。

 東京都は「スムーズビズ」と題して、職員らが在宅や遠隔地のオフィスで勤務を行う「テレワーク」や、朝のラッシュ時の通勤を避ける時差出勤などに取り組んでいる。どの程度の効果があるかを検証し、来年の五輪本番に備えるという。働き方への日本人の意識を大きく変える施策であり、政府、自治体、企業の一体的な取り組みが求められる。

 首都高速道路では、五輪期間中の通行料金を夜間に半額とし、日中の利用料を上乗せする「ロードプライシング」の導入も検討が進んでいる。欧州では交通需要の抑制策として定着しており、都心の交通事情を改善する上で議論は避けて通れない。

 東京が大会運営の公約として掲げた「安全、安心、確実」は、国の評価にもかかわる。

 訪日外国人を含む観客の安全確保は最優先事項だ。多くの人が集まる競技会場などを想定したテロ対策や防災策は、五輪後も大規模警備の先例となるはずだ。

 暑さ対策では、大会組織委員会が危険度を数値化し、来場者に情報提供する。

 多言語による発信など、きめ細かい対応で熱中症などのリスクを減らさなければならない。

 ≪成功は一人一人の手に≫

 五輪の「顔」と言われるボランティアには、おもてなしの心で日本の評価を高めてほしい。

 同一都市が2度目の五輪・パラリンピックを迎えるのは、東京が初めてだ。

 誰もが利用しやすい社会インフラの整備、「ユニバーサルデザイン」の街づくりは20年五輪の貴重なレガシーになる。

 日本が迎える超高齢社会への備えになるという視点からも、国民が積極的にかかわりたい。

 開催準備も本番の大会運営も、その成否は、一人一人の手に懸かっていることを忘れまい。

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