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【主張】習氏訪朝 中国は「非核化」を弄ぶな

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 米朝の非核化交渉が行き詰まる中、中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。

 中国メディアの報道によれば、習氏は金委員長に「朝米対話の継続と成果を国際社会が望んでいる」と、非核化に向けた前向きな対応を求めたとされる。

 習氏が自ら仲介して停滞を打開し、非核化を後押しするかのような印象だが、果たしてそうか。

 米朝交渉の難航は北朝鮮が「完全な非核化」に向けた具体的行動を取らないことが最大の原因だ。だが習氏は、北朝鮮の非核化に向けた努力を評価し理解を示した。非核化への後押しというより、これでは妨害である。

 米朝交渉が停滞している今も北朝鮮が核・ミサイル開発を継続していることを忘れてはならない。5月の2度にわたるミサイル発射は、その証左といえよう。

 北朝鮮に最も強い影響力を持つ中国首脳として、習氏の役割は非核化への行動を要求することである。ミサイルの発射に警告を与えた様子もない。

 習氏は「中国は(北朝鮮の)安全保障と発展に関する懸念を解決するため、力の及ぶ限り援助を提供したい」とも述べた。だが、北朝鮮は貿易などが国連制裁で厳しく制限されている。

 「全力支援」は、完全な非核化が実現し、国連制裁が解除されることが大前提である。

 中国は今、制裁対象ではない肥料などを北朝鮮に届けている。安保理では石油精製品取得の瀬取りを介した上限超過を指摘した米国の報告書に保留措置を取るなど、さまざまな手段で北朝鮮を救っている。これらの行動は北朝鮮の生命線をかろうじて保ち、金正恩体制が不安定なまま存続するのを助けているにすぎない。

 結果として北朝鮮の非核化を遠のかせているのは中国である。

 対米交渉の難航という点では、貿易問題を抱える中国も同じである。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)とその際の米中首脳会談で、米側は香港の逃亡犯条例改正問題も提起する構えだ。

 習氏の訪朝は議論の焦点を北朝鮮問題にすり替えたい思惑もあったと指摘される。北朝鮮の非核化は、東アジアの平和と安全にかかわる極めて重要な問題だ。外交カードとすること自体、責任ある大国の振る舞いとはいえない。

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