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【主張】警察官の詐欺 「厳正対処」で片付けるな

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 オレオレ詐欺など高齢者に被害が多い特殊詐欺の対策に関連して、京都府警山科署勤務の巡査長が、高齢男性から現金1180万円をだまし取ったとして逮捕された。

 特殊詐欺対応の一環で男性の資産状況を知り、詐欺を防ぐどころか逆にだました。警察官の立場を悪用した、あるまじき犯行である。

 事件のきっかけは、高額の現金を引き出そうとしている男性をみて、特殊詐欺を疑った金融機関が通報したことだった。対応して男性の資産を知った巡査長は、「お金を預かる」などと言って2度にわたって現金をだまし取った。

 金融機関には警察官を名乗って安心させ、男性に現金を引き出させるよう仕向けたというから、開いた口がふさがらない。

 特殊詐欺の防止には、金融機関による、高齢者への声掛けや警察との連携が重要である。平成30年の特殊詐欺の全国の認知件数は1万6496件で、前年よりも1716件減った。被害額も4年連続で減少している。金融機関や警察の取り組みが功を奏している。

 ところが、今回の事件は警察への信頼を大きく損ねた。特殊詐欺撲滅に向けた全国の取り組みに水を差しかねないものだ。

 認知件数や被害額が減ったといっても依然、高水準である。率先して特殊詐欺撲滅に当たるべき警察官がこのような犯罪をしたことで、負の影響が懸念される。

 京都府警は、全力で信頼回復に当たるべきだが、事の深刻さが分かっているか疑わしい。事件の概要を説明した際、府民らへの謝罪はなく、「厳正に対処する」などとした首席監察官のコメントを出しただけだった。その後、日を置いて本部長が府議会で謝罪したが、そのような姿勢では信頼回復にはほど遠い。

 巡査長は、だまし取った現金の大半を、外国為替証拠金取引(FX)などの投資に使っていた可能性があるという。詐取してまで投資に入れ込むような人間であれば、日頃から素行のおかしさを見抜けなかったのか。

 警察が国民や金融機関から信頼を失えば、喜ぶのは特殊詐欺犯である。警察は悪質な警察官の特異な犯行だと片付けてはいけない。犯罪に手を染める容疑者の性行を見抜けなかった危機管理も省みて、組織全体で信頼回復に努めなければならない。

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