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【主張】新品種の保護 法改正急ぎ海外流出防げ

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 農林水産省が、国内で開発された農産物の新品種保護の強化に向け、種苗法改正を検討中だ。新品種の海外流出が止まらないためだ。

 新品種が流出すれば海外で無断栽培され、内外の市場に出回る。日本の農産物と競合し、輸出が阻害される。歯止めをかけなければならない。

 新品種の開発は日進月歩だ。糖度が高くおいしいブドウやイチゴの新品種は、和牛などと同様に時間と金をかけて開発した日本の遺伝資源である。一度海外に流出すれば生産や販売を差し止めるのは容易ではない。

 法改正では、種苗法で種苗の持ち出しを実効性のある形で禁じるほか、保護期間の延長などが検討課題だ。日本では農産物を品種登録すると種苗法により登録者(育成者)の販売権が保護される。だが、種苗の海外流出を食い止める規制が不備で、優良な品種の流出が問題となっている。

 昨年の韓国・平昌五輪で日本のカーリング女子チームの選手が、休憩時間に韓国産イチゴを食べている姿が放映された。

 斎藤健農水相(当時)はこのイチゴについて、「日本から流出した品種を基に交配されたものが主だ」と指摘した。日本が生み出したすぐれた品種であるレッドパールや章姫(あきひめ)は無断で栽培され、韓国内で流通している。イチゴだけでもこの5年間で最大220億円の経済的損失が出た。

 日本で開発されたブドウの一種で、皮ごと食べられるシャインマスカットは苗木が持ち出され、中国で「陽光バラ」などの名称で販売されている。韓国でも栽培され、一部は東南アジアに輸出されている。種苗法に基づく新品種登録の出願と保護は、日本農業の競争力の源泉だ。対策が後手に回っていいわけがない。

 もう一つの問題は、新品種を開発した農家が、外国での品種登録の必要性に気づかないケースだ。気づいても手続きが煩雑で、申請をためらう場合もある。

 現在、任意の種苗団体が新品種を開発した農家の支援を行っている。法改正では、出願費用の補助や海外での登録手続きに関する法律相談など、国の責任で支援する方策も検討課題となっている。

 農水省は、検討会の議論集約を急ぎ、官民挙げての保護強化に向け、早期の態勢構築を図ってもらいたい。

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