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【主張】旧優生法違憲判決 謝罪と救済から逃げるな

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 旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐり国に損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は旧法を「違憲で無効」と判断する一方、手術から20年以上が経過して原告らの損賠請求権は消滅したとして、賠償請求は棄却した。

 強制手術は、不良な子孫の出生防止という優生思想により、法の名の下で全国的に行われた。憲法13条は国民一人一人が幸福を追求し、その生きがいが最大限尊重されることを保障している。出生を望む者の幸福を一方的に奪う根拠法となった旧優生保護法が13条のうたう「幸福追求権」に反するものであることは明らかだろう。

 違憲判決の意味は大きい。政府や、昭和23年に与野党全会一致で同法を成立させた国会は、違憲判断を受け入れるべきである。

 過去の過ちを改むるにはばかることなかれ。

 平成13年にはハンセン病罹患(りかん)者の隔離政策をめぐる損賠訴訟(熊本地裁)で、当時の小泉純一郎首相が原告勝訴の1審判決を受け入れ、国による謝罪と補償につながった前例もある。

 一方で、強制手術から20年以上がたっているとして除斥期間の規定から賠償請求を棄却した。

 「除斥」は法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度で、原則として当事者の事情は斟酌(しんしゃく)されない。純粋な法解釈としては妥当といえる。

 ただし、それで救済の責務が消えるわけではない。

 4月には、強制不妊手術の被害者に一時金320万円を支給する救済法が成立した。

 その前文には「我々(われわれ)はそれぞれの立場において真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と記されたが、国の責任は明記されず、憲法判断は避けている。安倍晋三首相と根本匠厚生労働相もそれぞれ反省とおわびの談話を発表したが、文言はほぼ同一だった。

 320万円の金額にも不満は強い。国からの個別通知はなく、被害者側からの申告制のため、救済から多くの被害者が漏れる可能性も指摘されている。

 旧優生保護法が悪法であった事実は明白である。首相らがおわびの談話を発表しながら、同種の損賠訴訟は各地の地裁で続く。極めて分かりにくく映る。

 謝罪と救済から逃げず、まず救済法を見直すべきではないか。

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