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【主張】イラン核活動再開 脅しで理解は得られない

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 イランのロウハニ大統領が、2015年に米欧など6カ国と結んだ核合意を受けて停止していた核活動の一部を再開すると表明した。

 一方的に核合意から離脱し、対イラン制裁を完全復活させて圧力を強める米国への対抗措置であり、残る5カ国との協議で原油取引などでのイランの要求が満たされなければ、本格的な再開に入るとしている。

 核合意にはとどまるというが、核カードをちらつかせるのは合意そのものに背を向ける行為だ。欧州の当事国である英仏独が批判の声を上げたのは当然である。

 トランプ米政権はただちに、鉄鋼、アルミニウム、銅を対象とする追加制裁を発動した。空母打撃群の近海派遣も発表している。偶発的な衝突が危惧される。緊張が極度に高まる事態は絶対に避けなければならない。

 イランは、中東や欧州の一部を射程に収める弾道ミサイルを開発、保有し、シリアやイエメンの内戦に介入している。北朝鮮とのつながりも強く疑われている。

 イランが脅威とみなされるのはこうした多くの理由がある。イランに求められるのは、国際社会の疑念を払拭する努力である。危機をあおってはならない。

 中東における米国の存在感はオバマ前政権下で低下し、代わってイランやロシアが影響力を拡大させた。両国が支援するアサド政権優勢となったシリア内戦の推移はそれを如実に物語っている。

 イスラエルを重視し、サウジアラビアなどと連携してイランを弱体化させ、ロシアを押し戻す。米国の対イラン強硬姿勢は、中東戦略の一環でもあるのだろう。

 問題なのは、国際社会に対しその展望がはっきりと示されていないことだ。追い詰められたイランが核開発に突き進み、周辺国を巻き込み核ドミノの動きが生じることにならないか。そうした不安を解消する説明が必要である。

 ロシアはイランの決定が「米国の無責任な行動に原因がある」と批判した。イランがロシア傾斜を深めることも懸念の一つだ。合意当事国のロシアと中国が、イラン側で米国との対決姿勢を強めれば事態は一段と複雑になる。

 イランへの圧力は、北朝鮮への圧力同様、核拡散を阻止することが目的であるはずだ。そのための最適の方策を選択していくことが重要である。

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