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【主張】対北朝鮮交渉 大胆かつ慎重に取り組め

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 安倍晋三首相が1日の産経新聞との単独インタビューで、日本人拉致問題解決のため北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と「条件をつけず」に会談したい意向を示した。首相は6日のトランプ米大統領との電話会談でも、同様の考えを伝えた。

 拉致被害者全員の帰国は日本にとって最優先課題である。首相はインタビューで平成14年以来、1人の拉致被害者の帰国も実現していないことを「痛恨の極み」と述べた。

 首相が「条件をつけずに金委員長と会い、率直に、虚心坦懐(たんかい)に話し合ってみたい」と北朝鮮にシグナルを送ったのは理解できる。

 トランプ大統領は、米朝首脳会談のたびに取り上げるなど拉致問題解決の必要性を分かっている。日米両首脳の信頼関係が深く、米朝交渉が行われている今を、拉致問題解決の機会としなければならない。

 首相があらゆる場面をとらえて行動することは極めて重要だ。無法な北朝鮮を相手に難しい交渉ではあるが、日米の緊密な同盟関係を背景に事態打開へ大胆かつ慎重に取り組んでもらいたい。

 一方で北朝鮮は4日、日本海に向けて複数の飛翔(ひしょう)体を発射した。金委員長が命令を下したという。北朝鮮が公開した写真には、長距離ロケット砲に加え、発射台付き車両(TEL)から垂直に打ち上がるミサイルが写っていた。

 発射時の形状から、ロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」またはそのコピーとの指摘が米シンクタンクから出ている。

 安倍首相とトランプ大統領が電話会談で、日米が協力して分析すると確認したのは妥当である。

 「イスカンデル」は固体燃料を使用する。そのうえTELから発射できるのであれば、見つかりにくく奇襲的に運用できる。脅威度は格段に増すといえる。

 北朝鮮が今回発射した飛翔体の距離は70~240キロで日本に届く距離ではない。だが、在韓米軍や韓国の人口密集地を攻撃できる。北朝鮮によるこのような軍事挑発は決して許されない。

 短距離弾道ミサイルも発射していたのであれば事は深刻だ。国連安全保障理事会決議への違反を重ねるものだからだ。首相もインタビューで北朝鮮の非核化が実現しない限り、制裁を続ける方針を示している。安保理を招集して非難の声をあげなければならない。

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