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【主張】トランプ政権 真の「国益」を見失うな 日本も共に国際秩序支えよ

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トランプ政権 真の「国益」を見失うな 日本も共に国際秩序支えよ

主張更新

 「米国第一」を唱え、国際的な連携には背を向ける。世界が抱いた懸念の多くは、トランプ政権発足から半年を経て、解消されるどころか強まっている。

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 孤立への道を進む米国は、外交安全保障から経済まで、あらゆる面で積極的に指導的役割を果たそうとしない。このままでは、その影響力は著しく低下しよう。

 それだけではない。自由や民主主義、法の支配といった普遍的価値観に基づく戦後の国際秩序は、米国が主導してきたものだ。

 自らの国益でもあると判断してきたからだが、その役回りも放棄するなら、秩序は緩み、自由の理念は後退する。

 米国孤立は中国利する

 その間隙を突いて、存在感を誇示しようとしているのが中国である。日米同盟を堅持し、この国際秩序に基盤を置いてきた日本として、見過ごせない状況である。

 秩序維持への責任を押しつけようとしても効果はあるまい。共に支えていく姿を示し、トランプ政権に強く働きかけ続けることが重要である。

 トランプ氏が掲げた主な公約のうち、実現したのは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱くらいだろう。いずれも、大きな負の影響をもたらすものだ。

 世界貿易機関(WTO)体制の下で自由貿易を牽引(けんいん)し、その恩恵を享受する。そうした価値観も米国を中心に構築されてきた。

 TPPには、日米やアジア太平洋の諸国が、新たな貿易ルールの下で経済の活性化を図る意義が込められていた。

 米国が離脱した今、何が起きているか。中国の習近平国家主席が「開かれた市場」の担い手として旗を振る。経済や貿易への露骨な介入を改めない独裁国家が、そう振る舞う倒錯した状況がある。

 中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」には、経済、軍事両面での覇権主義を強める懸念がある。それでも、巨大な経済力に多くの国が吸い寄せられる。トランプ政権の独善的な行動が、助長している面も否めない。

 戦後、日本を含む自由主義諸国は、米国の経済力、軍事力の存在を前提に復興し、繁栄を享受してきた。日米同盟や北大西洋条約機構(NATO)がそうである。

 大きな懸念は、孤立を強める米国に、外交、安保で指導力の発揮を求められなくなることだ。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、トランプ政権は武力行使を含む「全ての選択肢」を掲げて、北朝鮮経済に打撃を与えうる中国企業への二次的制裁にも踏み切った。その強い姿勢自体は評価できよう。

 だが、肝心の中国は北朝鮮に影響力を行使しようとしない。そんな中国に圧力をかけようにも、今のトランプ政権は国際社会の力を結集できない。