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【主張】南北対話 再開は日米韓の結束乱す

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南北対話 再開は日米韓の結束乱す

主張更新

 韓国の文在寅大統領が北朝鮮に対し、南北軍事会談と赤十字会談の開催を提案した。

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 軍事境界線付近での敵対的行為禁止などを呼びかけるものだが、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を強行する中、無条件で対話を再開しようとするのは理解に苦しむ。

 文氏の不用意な行動は、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するために圧力を強化してきた日米韓の結束にほころびを生じさせる。それがいかなる危機をもたらすかを考えてもらいたい。

 今月6日、ドイツ・ハンブルクでの日米韓首脳会談では、安倍晋三首相とトランプ米大統領との間で、3カ国が連携し、北朝鮮に「最大限の圧力」を加えることで一致したばかりである。

 文氏の提案について、スパイサー米大統領報道官はトランプ氏が掲げる対話再開の条件とは「明らかに大きな隔たりがある」と否定的見解を示した。当然である。

 文氏は、トランプ氏が6月末の米韓首脳会談の際、「適切な条件下であれば北朝鮮と対話を始めることができる」として、南北対話の模索に理解を示したと強調していた。

 だが、「適切な条件下」とは核・ミサイル開発の放棄や、これに向けた具体的な行動を指す。ICBM実験の強行は、今がその時期ではないことを明白にした。

 国際社会は、日米韓の主導のもと、北朝鮮が原油・石油製品の9割を依存する中国に対し、厳しい制裁の実施を迫っている。これに対し、北朝鮮の崩壊を望まない中国は経済制裁ではなく、対話による問題解決を主張してきた。

 中国外務省の報道官は17日の会見で、「朝鮮半島の南北双方が対話によって関係を改善し、協力を推進することは半島の緊張緩和に役立つ」として、文氏の提案を歓迎した。

 南北対話の呼びかけは、中国の立場に歩み寄ることでもある。それは、中国への国際社会の圧力が弱まることを意味する。

 仮に南北会談が再開するとしても、北朝鮮は制裁の解除と米韓合同軍事演習の中止などを求めるだろう。米国はもとより日本としても、受け入れられない。会談は行き詰まるしかあるまい。

 対話の再開は、核・ミサイル開発のための時間をさらに北朝鮮に提供するだけである。