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【主張】児童虐待防止 情報共有さらなる一歩を

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児童虐待防止 情報共有さらなる一歩を

主張更新

 深刻な児童虐待を防止するため、関係機関がようやく本腰を入れ始めた。虐待死ゼロへの一歩になってほしい。

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 今月15日、埼玉県、さいたま市と県警が「情報共有等に関する協定書」を締結した。4月には大阪府警が全国初の専門部署である「児童虐待対策室」を新設した。

 児童虐待の通報・相談は急増しており、児童相談所(児相)と警察の情報共有が悲劇を防ぐ。さらなる取り組みが必要だ。

 大阪府警の対策室は先月、昨年12月から所在不明になっていた大阪府茨木市の生後8カ月の男児を名古屋市内で保護した。4カ月児健診を受診しなかったため、市が児相に通告。児相の求めに応じて、男児が身を寄せていた祖母が行方不明者届を府警に提出した。連携が実ったケースだ。

 厚生労働省によると、全国208カ所の児相が平成27年度に対応した児童虐待の通報・相談は10万3286件で、初めて10万件を超えた。調査開始から25年連続で最多を更新している。

 一方、全国の警察が昨年1年間に、虐待の疑いがあるとして児相に通告した18歳未満の子供の数は5万4227人に上った。前年比46・5%増で、こちらも12年連続の最多更新である。

 児相はこれまで、警察に知られたくないという相談者の意向やプライバシーなどを考慮し、警察への情報提供には消極的だった。

 児相は人員不足から夜間や休日の対応ができず、家庭訪問しても立ち入りや児童との面会を拒否されることが少なくない。虐待を早期に発見し、防止するには警察との連携が不可欠だ。

 埼玉県などと県警の協定書は、昨年1月、狭山市で起きた3歳女児の虐待死事件がきっかけになった。情報共有の動きは東京都、大阪府などでも広がっている。

 しかし、警察に提供する情報は「事件になる可能性がある事案」などに限定するところも多く、実効性があるか疑問だ。

 すべての情報を共有し、場合によっては一時的に子供を親から引き離して保護する必要がある。経験不足から子育てに悩む親への支援も欠かせない。

 塩崎恭久厚労相は国会で「子供たちがすくすくと、健全な養育を受けながら育っていくことが大事」と答弁した。

 その言葉を形にしてほしい。