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【主張】年金抑制法案 若者世代にツケは回せぬ

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年金抑制法案 若者世代にツケは回せぬ

主張更新

 年金額を抑制する年金制度改革関連法案の審議が始まった。

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 現在の高齢者への給付額を減らし、若者世代が将来受け取る水準が想定以上に下がらないようにする内容だ。世代間のバランスを考えれば、避けて通れぬ課題である。

 民進党などは「年金カット法案」と批判して対決姿勢を鮮明にし、採決の見通しが立っていない。だがこれは、社会保障・税一体改革で確認された「積み残しの宿題」でもある。

 政府・与党は先送りすることなく、今臨時国会での成立を目指してもらいたい。

 年金額は、毎年の物価や現役世代の賃金の変動を踏まえて見直される。現行制度では賃金が物価より下落した場合は物価分しか下げず、賃金が下がっても物価が上がれば据え置かれる。新ルールでは賃金が下落すれば連動して減らす方式に改めようというのだ。

 これとは別に、給付水準を少しずつ目減りさせる「マクロ経済スライド」の仕組みも強化する。デフレ時に抑制できなかった分を繰り越し、物価や賃金が上がった年にまとめて減らす。

 過去の賃金の伸び悩みで、現在の高齢者の給付水準は高止まりしている。これを是正すれば財政に余裕ができ、「将来の受給者」の給付水準を高められる。

 もちろん、賃金が下がる状況を招かぬに越したことはない。だが経済は生き物である。「備え」を怠るわけにはいかない。

 年代によっては不満もあろうが、子や孫世代の「老後」に対する配慮の必要性は理解されるはずだ。限られた財源を有効活用するには、すべての世代で「痛み」を我慢し合うしかない。

 野党の批判には、次期衆院選で争点化したいとの思惑があるようだが、年金改革を政争の具にすることは慎むべきである。

 低所得者向けには、何らかの手立てを講じる必要があるだろう。この具体策を提言したほうが、よほど建設的だ。

 懸念されるのは、野党の攻勢に押されて与党にも及び腰の姿勢が見えることだ。高齢者の反発を買いたくないのだろうが、ここで高齢者におもねっては年金未納者がさらに増え、若者の年金不信が拡大しかねない。

 最も避けるべきは世代間対立をあおることだ。将来を見据えた冷静な国会論戦が必要である。

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