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孔子廟訴訟、最高裁大法廷判決の要旨

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 那覇市が「孔子廟(びょう)」の敷地を無償提供したことは「政教分離の原則」に反して違憲とした24日の最高裁判決の要旨は次の通り。

 【事案の概要】

 孔子廟を所有する久米崇聖会は、中国から琉球に渡来した「久米三十六姓」の歴史研究、論語を中心とする東洋文化の普及を目的とする。平成25年以降、孔子の生誕の日に祭礼を行っている。

 【上告理由への判断】

 憲法は政教分離原則に基づく規定を設けているが、国家が宗教との一切の関係を持つことが許されないのではなく、信教の自由の保障との関係で相当とされる限度を超えると認められる場合に許されないと解される。

 使用料免除が政教分離に違反するか否かの判断に当たっては施設の性格、免除の経緯や態様、一般人の評価などを考慮して総合的に判断すべきだと解するのが相当だ。

 本件施設は、外観などに照らして社寺と類似性があり、施設で行われる祭礼は、思想家である孔子を歴史上の偉大な人物として顕彰するにとどまらず、その霊の存在を前提としてあがめ奉るという宗教的意義を有する儀式というほかない。当初の孔子廟は明治時代以降、社寺と同様の取り扱いを受け、本件施設はその宗教性を引き継ぐものといえる。施設の宗教性を肯定することができ、程度も軽微とはいえない。

 那覇市は施設の観光資源としての意義に着目し、歴史的価値が認められるとして使用料を免除した。しかし、当初の孔子廟とは異なる場所に新築されており復元したものとはうかがわれず、法令上の文化財としての取り扱いを受けているなどの事情もない。観光資源としての意義や歴史的価値をもって、国公有地を無償提供することの必要性および合理性を裏付けるものとはいえない。

 免除の対象となる使用料は年間576万7200円で、久米崇聖会が享受する利益は相当に大きい。そして宗教的活動を容易にするものといえる。一般人の目から見て、市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ない。

 以上の事情を考慮して社会通念に照らして総合的に判断すると、本件免除は信教の自由の保障との関係で相当とされる限度を超えるものとして、憲法20条3項の禁止する宗教的活動に該当する。

 【林景一裁判官の反対意見】

 本件施設や祭礼については宗教性がないか、少なくとも習俗化していて希薄である。本件を政教分離に違反すると判断すると、政教分離規定の外延を過度に拡張し、歴史研究、文化活動にかかる公的支援の萎縮効果などの弊害すらもたらしかねない。免除が憲法20条3項の禁止する宗教的活動に該当するとした原審の判断には誤りがある。

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