PR

孔子廟違憲 廟の性質、個別に検討 歴史・文化的意義も考慮

PR

 自治体が「孔子廟(びょう)」の敷地を無償提供するのは政教分離の原則に反して違憲とした24日の最高裁大法廷の判決。過去の政教分離訴訟の判断枠組みを基礎にしつつ、那覇市の孔子廟の実態を検討して結論を導いた。判決では、宗教的施設でも歴史・文化的な意義が大きければ無償提供が認められるケースもあるとしたが、儒教が宗教か否かの評価には踏み込まなかった。

 大法廷はまず、空知太(そらちぶと)神社訴訟など過去の判例を踏まえ、無償提供が政教分離原則に反するかの判断に当たっては、施設の性格▽免除の経緯▽無償提供の態様▽一般人の評価-などを考慮し、社会通念に照らして判断すべきだと判示した。

 その上で、那覇の孔子廟は外観などから社寺に類似すると判断。年に一度、供物を並べて孔子の霊を迎える祭礼は「宗教的意義を有する儀式」と認定した。

 また当初、「宗教に限りなく近い」という懸念から私有地に設置する案も市内部であった経緯に着目。観光資源の側面などを考慮しても「公有地を無償で提供する必要性を裏付けるものとはいえない」と退けた。

 孔子廟の敷地面積は1335平方メートルで、市条例で定める公園使用料は年間約570万円。大法廷は無償提供で、孔子廟を管理する久米崇聖会の利益は「相当に大きい」とし、「一般人から見て市が特定の宗教に特別の便宜を提供していると評価されてもやむを得ない」とした。

 大法廷は、仮に宗教性のある施設であっても、歴史や文化的な部分で意義が認められれば、無償提供が違憲とはならないこともあると示唆。一方で、儒教一般の評価や崇聖会が宗教団体かどうかの判断はしなかった。「条文上、宗教かどうかが問題なのではなく、宗教的活動かどうかを判断すれば足りる。デリケートな宗教論争に裁判所が立ち入るのもふさわしくない」(裁判所関係者)との考えが働いたとみられる。

 15人の裁判官で唯一、反対意見を表明した林景一裁判官(2月7日付で退官)は、施設の宗教性が希薄化しており、違憲判断は「『牛刀をもって鶏を割く』の類だ」と論語を引いて批判。さらに「助長される(宗教などの)対象が特定できないのに違憲と判断するのは、政教分離規定をあいまいに拡張する」と警鐘を鳴らした。

     ◇

 百地章・国士舘大特任教授(憲法)の話「今回の違憲判決は、宗教的施設の性格や無償提供の経緯などを総合的に考慮して判断すべきだとした空知太神社訴訟判決に基づいており、結論は妥当といえる。最高裁がすでに確立した目的効果基準を採用しなかった点は疑問だが、政教分離を緩やかに解釈した点も納得できる。判決は、宗教的施設であっても歴史的、文化的建造物や観光資源などの場合は、憲法違反に当たらないこともあると示唆した。であれば、学問所の湯島聖堂や足利学校などの孔子廟は問題にはならないはずだ」

この記事を共有する

おすすめ情報