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【「風」読者の声~ALS嘱託殺人(3)】「安楽死」法制化は必要なのか

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 事件で亡くなった筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の女性はブログで、海外での「安楽死」を一時模索したことを記していた。これに関連し、難病のパーキンソン病を患った父親が寝たきりになった末に亡くなったという大阪市の女性(53)からのメールを紹介したい。

 メールの女性は「苦しくない今のうちに死なせてほしい」と懇願されたつらい経験を振り返りつつ、《自分が完治することのない病に侵されたとしたら、死期を自分で選べる法があってもいいと思う》と、海外の実例も踏まえ検討を求めた。安楽死の法制化を求める意見は他にも寄せられている。

 海外では、オランダやベルギーなどで医師が致死薬を投与する「積極的安楽死」を合法化。スイスでは医師が処方した致死薬を患者が使う「自殺幇助(ほうじょ)」を認めている。

 日本では法的に認められておらず、医師が殺人や殺人幇助の罪に問われる事件が起きてきた。そのため、平成19年に厚生労働省は病院での終末期医療についてのガイドライン(指針)を公表。30年には、難病などの在宅医療や介護も加え改訂した。

 指針では、医師による十分な情報提供と患者の意思決定を基本に医療・ケアの方針を決めるプロセスを示しており、積極的安楽死は対象外だ。ただ、医療現場では、家族や医療チームを含めた話し合いなどを経た上で、胃瘻(いろう)造設、気管切開といった手術をしないことや、人工的な栄養補給の変更・中止が、選択肢にできると解釈されている。

 《国の指針を活用すれば、「安楽死」を合法化せずとも、本人の意向に沿って現場で繰り返し話し合い、心身の苦痛の緩和にも努めた上で、延命措置をしないことや中止することもできる。多くの人が指針を知らないまま、医療に絶望や不信感を募らせているのではないか》。名古屋市の医師、岡島明子さん(49)からのメールだ。

 緩和ケア認定医でALS患者を診察した経験を振り返り、岡島さんは《死の方法を選ぶのではなく、「尊厳ある生」をまっとうするために、家族や医師に意向を伝えて、納得できる治療方針を求めてほしい》と呼びかけている。(石)

 安楽死 回復の見込みがなく、苦痛の強い末期などの患者を人為的に死に導く行為。薬物投与などによる「積極的安楽死」と、生命維持装置を外すなど延命治療を中止する「消極的安楽死」がある。患者の意思に基づく消極的安楽死を「尊厳死」と呼ぶこともある。

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