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【阪神大震災25年】災害救助、AIで変わる SNS分析…素早く把握

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 災害発生時に被災者がツイッターなどSNSに寄せる投稿をAI(人工知能)などで分析し、迅速な情報収集や、救助や避難などに役立てる取り組みが進んでいる。自治体などが無料通信アプリ「LINE(ライン)」上で市民から災害情報を募ったり、インターネット上で市民同士が情報共有したりして迅速な避難を促す動きも。阪神大震災から25年を迎え、災害時の情報収集の在り方も変わりつつある。(有年由貴子)

 《大雨で瞬間的に暴風が吹き荒れています》

 《川が増水しています》

 台風19号が近畿地方に接近した昨年10月。警戒にあたる神戸市危機管理室の大型モニターの地図上に、市民からLINEを通じて寄せられた災害情報が次々と表示された。

 市が導入したAI自動対話システム「防災チャットボット」。LINEで「友達登録」をした市民が被害状況や位置情報、写真を入力すると、AIが情報を分析・整理し、自動的に地図に落とし込む仕組みだ。情報は市民もスマートフォンで確認することができる。

 システムはLINEなどの民間企業や自治体、研究機関などでつくる「AI防災協議会」が運用。全国で初めて神戸市で実証実験され、台風19号では市内全域から計108件の情報が寄せられた。

 全国で8千万人超が利用するLINE。活用により、災害時の迅速な情報収集が期待できる。市担当者は「街全体の状況を時系列で把握できた。災害時の職員の最適な配置が期待できそうだ」と手応えを語る。

 デマが疑われる情報があれば、将来的には近くにいる人にLINEを通じて状況を確認することもできるとし、近く本格運用を目指す。17日にはシステムを使った市民訓練を行う。

 災害発生時の被災自治体の情報集約は従来、通報などで寄せられた被害情報をホワイトボードや地図に書き込んだり、関係機関とファクスや電話で共有したりする手法が取られてきた。

 一方、近年はSNS上での救助要請や被害情報の発信が急増。東日本大震災では発生当日だけでツイッターへの投稿が約3300万件に達するなど、SNS上に集まる膨大な情報の活用が課題となっていた。

 こうしたことから、情報通信研究機構やIT企業も、情報をAIで分析・整理しネット上で公開するなどの取り組みを行っており、各自治体での活用が進んでいる。

 豪雨災害などの多発を受け、利用者同士が災害状況を共有し迅速な避難行動を促す試みも始まっている。

 IT大手「ヤフー」は昨秋に約2週間、試験的にスマホ向けの防災通知アプリ「ヤフー防災速報」に新機能「災害マップ」を追加。利用者が周辺状況を投稿し、アプリの地図上で共有できるほか、特定の場所で災害に関する投稿が一定数以上集まると、スマホに避難を促す通知が届く仕組みも盛り込んだ。

 災害と情報に詳しい慶応大の山口真吾准教授は「災害発生直後、自治体の人力での情報収集には限界があるが、AIやネットを使えば情報洪水を防ぎ、必要な情報を迅速に被災者に提供することもできる。自治体も住民も企業も新しい技術を積極的に活用していくべきだ」と話している。

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