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【想定外台風】小規模事業のローカル線 災害対策講じるも…“限界”どうする

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倒木が目立つ鞍馬駅構内=平成30(2018)年9月(叡山電鉄提供)
倒木が目立つ鞍馬駅構内=平成30(2018)年9月(叡山電鉄提供)

 東日本の広範囲に猛威をふるった台風19号では、三陸鉄道(岩手県)や上田電鉄(長野県)といったローカル鉄道が寸断される被害が相次いだが、昨夏の西日本豪雨でも同様のケースが発生した。多くは第三セクターなど小規模な鉄道事業者が運営。公共交通機関が少ない地域だが赤字路線のため再開が難しいといった問題を抱えており、住民の日常生活を直撃している。

 10月23日、JR西日本は昨年7月の西日本豪雨の影響で運休していた芸備線中三田(広島市安佐北区)-狩留家(かるが、同)間の運転を再開。芸備線は約1年3カ月ぶりに全線復旧し、被災したJR西の全路線が平常運行に戻った。通勤で同線を利用した女性(60)は「全線開通はうれしい。通勤時間も短くなる」と喜んだ。

 芸備線は、豪雨による増水で橋が流されるなどし、バスによる代行輸送を続ける一方、新しい橋の設置工事を進めていた。

 JR西が西日本豪雨による管内の復旧総工費に費やしたのは215億円。鉄道大手の同社にとっても安くはない金額だ。山間を走る芸備線はもともと経営が厳しかったが、復旧に取り組んだのは、広島市内への通勤・通学などのため、生活の足の役割を果たしていたからだ。

 今回の台風19号で三陸鉄道や上田電鉄など多くのローカル線も被災。長野県上田市の市街地と別所温泉を結ぶ上田電鉄は千曲川の堤防が決壊し、鉄橋が落ちた。約10年前に橋脚の強化を図ったため橋脚は残ったが、橋桁は堤防ごと流された。

 赤字路線で何度も廃線が検討され、そのたびに住民らの要望で存続してきたものの、ダメージは大きい。担当者は「復旧には数十億円が見込まれるが、電鉄だけではまかなえず、市や国に協力を依頼するしかない」と語る。

 こうした被害は、全国の鉄道事業者にも起こりうるため、各社は対策を講じる。

 高野山(和歌山県高野町)とふもとを結ぶ南海電鉄高野山ケーブルカー(高野山駅-極楽橋駅)。災害時に避難しやすいよう車両面の改造にも取り組む。今年3月に導入した4代目の新型車両は、滑りにくい床材を使うなど乗客の安全面に配慮した設計を採用。3代目は側面の乗降口にはしごをかける方式だったが、4代目は頂上側の正面扉も開けられる設計に変更した。

 ただ、運行時のトラブル発生を想定しており、超大型台風の場合には「安全を考慮し、事前に運転を取りやめる」という。

 京都・洛北の山あいなどを走る叡山電鉄(京都市左京区)は、昨年9月の台風21号で沿線の木が倒れるなどして鉄道設備が損傷し、全線再開まで50日以上を要した。

 教訓を生かし、倒木などの恐れがある沿線に監視カメラを複数台設置し、トラブル発生時の情報把握を進めるほか、倒壊した木製の電柱についても、コンクリート製に取り換えた。とはいえ、自然が相手なだけに抜本的な防止策はなく、「できることから対策をやっていくだけ」(同社)としている。

 鉄道評論家の川島令三さんは「地域の小規模鉄道は住民の需要があり、地域の足として残していく必要がある」と指摘した上で「被害を小さくするためには、山間部を走る鉄道は平時からのり面の土砂崩れなどを防ぐ必要があるが、鉄道事業者の対応には限界がある。国や地元自治体が補助する仕組みや法律を作る必要もあるのではないか」と話している。

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