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【主張】北海道全停電1年 脱原発リスクを思い出せ

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 最大震度7を記録した北海道胆振(いぶり)東部地震から6日で1年を迎えた。

 40人を超える人命を奪うとともに北海道ほぼ全域を停電に陥れた地震だった。長時間にわたる電力喪失で、道民約550万人の暮らしと生産活動が脅かされた記憶は、生々しく残る。

 厳冬期であれば、被害はどれほどの規模に達していたかと背筋が寒くなる思いである。

 北海道電力管内の各発電所がドミノ倒しで機能を停止し、全停電に至った「ブラックアウト」の背景には、福島事故を機に北電の泊原子力発電所の3基が停止させられていたことがある。

 北電は火力発電所のフル稼働で原発不在の穴埋めに努めていたが、道内最大の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所が大地震で故障した。その結果、道内の電力網を流れる電気が一気に消費量を下回ったのだ。電気は時々刻々、消費量と発電量が一致していなければ、周波数が狂ってブラックアウトに進む。

 自然まかせで出力調整能力を欠く太陽光や風力発電だけでは、安定した電力供給が不可能であることを多くの人が、この大地震で初めて知った。

 安全審査中だった原発の泊3号機だけでも稼働していれば、昨年の北海道ブラックアウトは回避されていた可能性が極めて高い。

 地震多発国の日本での電力安定供給には、原発が必要であることを再認識したい。強固な岩盤上に建つ原発は、火力発電所を上回る耐震力を備えている。

 来年から始まるパリ協定での二酸化炭素排出削減の公約達成には原子力発電が欠かせない。しかし、国内の原発は減り続ける一方だ。この1年間にも福島第2原発4基などの廃炉決定も加わって、3・11前の54基から実質33基にまで激減している。

 稼働中の原発は9基しかないが、その多くがテロ対策施設の難工事の遅れで来年以降、運転停止に追い込まれそうな状況だ。

 8月末には原子力規制委員会が、原発の基準地震動の計算方法を改定することを決めた。安全審査中だけでなく稼働中の原発の中にも新たな追加対策工事を迫られるところが出る見通しだ。

 脱原発のリスクを顕在化させた北海道の地震だったが、その教訓は早くも風化しようとしている。来る南海トラフ地震での列島ブラックアウトが懸念される。

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