PR

【西日本豪雨1年】ため池対策進むも浮かぶ課題

PR

西日本豪雨で決壊したため池があった場所=広島県福山市
西日本豪雨で決壊したため池があった場所=広島県福山市

 農林水産省が自然災害で人的被害が生じる恐れがある「防災重点ため池」を新基準で再選定した結果、6万3千カ所が対象となり、これまでを大きく上回ることになった。昨年の西日本豪雨では2府4県で計32カ所のため池が決壊し、農水省は自治体に対策を求めているが、ため池すべてを改修するには膨大な費用と時間がかかるのが実情だ。

 全国で最も防災重点ため池の数が多かった兵庫県。今年度中にため池マップを作成し、浸水想定区域を周辺住民に周知するほか、緊急性が高いため池から順に改修工事を行う。

 ただ、総数が多い上、普段はため池に灌(かん)漑(がい)用水をためており、工事に着手できるのは農作業が終わった秋ごろに入ってからという。担当者は「工事は時間がかかり、計画的に進めていくしかない」と話す。

 2番目に多かった広島県では西日本豪雨の被災を受け3月、補強工事や、利用されていないため池の廃止を進める方針を表明。だが、復旧作業が山積し、請け負う業者が不足し、着手が難しいのが現状だ。県の担当者は「工事をしたからといって安全とも限らない。ソフト・ハード両面の対策が必要」として、周辺住民へのため池の浸水区域の周知を急ぐ。

 農水省によると、全国に約16万6千カ所あるため池の多くが江戸期以前に造られ、下流に住宅や公共施設がある地域もある。再選定では、放置されたり、管理用道路に草木が繁茂したりする池も確認された。

 今年4月に成立したため池新法では、ため池を新設・廃止する場合は、所有者が都道府県に届け出ることを義務化。農家の減少や高齢化でため池を管理する住民は不足しており、農水省は所有者以外の人にも、管理や保全に参加してもらう取り組みも後押しする。(江森梓)

この記事を共有する

おすすめ情報