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【熊本地震】熟練ボランティア存在感 行政の経験不足カバー

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熟練ボランティア存在感 行政の経験不足カバー

熊本地震更新

 熊本地震の被災地では今も多くの被災者が、がれき撤去などの復旧作業に追われている。その中、過去の災害での経験を蓄えたベテランのボランティアが存在感を増している。こうした人材は現場から求められており、行政の経験不足を補う存在として、災害時にどう生かすかが問われている。(市岡豊大、三宅真太郎)

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■現場仕切る存在

 「破片は土(ど)嚢(のう)袋に入れて運んでください」

 建物のがれきが散らばる熊本県益(まし)城(き)町の住宅街で、初対面のボランティア12人を統率する大分県日出町の元建設作業員、尾畠春夫さん(76)。平成23年の東日本大震災、26年の広島土砂災害、昨年の東日本豪雨と数々の災害現場に赴き、今回も車中泊しながら連日の作業に参加する。

 被災地ではこうしたベテランのボランティアの姿が多い。益城町役場で炊き出しのテントを運営するNPO法人「キャンパー」(埼玉)代表理事、飯田芳幸さん(61)もその一人。東日本大震災では50日間で4万食以上を振る舞った。今回は4月22日から毎日、1日1200食を配った。

 食材を熊本県内で調達する一方、燃料は自前で用意。同行するボランティア70人分の保険も事前加入して現地入りした。「突然の震災に遭えば誰もが慌てふためく。万全の準備をしている私たちのような団体にしかできないことがある」と飯田さんは強調する。

 ■人手たりない

 被災自治体は慢性的な人員不足で、ボランティアの手を借りざるを得ないのが実情だ。県ボランティアセンターによると、13日時点で延べ4万5497人が参加。1日当たりでは大型連休中の4日に3558人だったのをピークに減少しており、13日は1406人だった。

 継続的に活動するベテランは貴重な存在だ。益城町だけで「少なくとも10人以上」(尾畠さん)が活動しており、同町ボランティアセンターの国元秀利センター長は「運営全体に助言できるベテランも多く、心強い」と話す。

 ■「判別難しい」

 熊本県の蒲島郁夫知事は「訓練されたボランティアには、一般人と別に早く来てもらわなくてはいけなかった」との見方を示す。今回、被災地での受け入れは益城町から始まったが、発生1週間後の4月21日だった。ただ、県ボランティアセンターの角田信也副センター長は「経験者の判別は難しい。経験者がどれだけいるのかも把握できていないのが実情だ」と話す。

 神戸大学の室崎益輝名誉教授(防災計画)は避難者数が一時約18万人に上ったことを踏まえ、「本来は避難所だけで1日5千人規模の人手が必要だが、行政職員では足りない。ボランティアの力を積極的に借り、ノウハウを共有すべきだ」と指摘している。