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【三鷹ストーカー殺人控訴審】差し戻し続く裁判員裁判 「積極説明の姿勢の表れ」との声も

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差し戻し続く裁判員裁判 「積極説明の姿勢の表れ」との声も

三鷹ストーカー殺人控訴審更新

 東京都三鷹市で平成25年に起きたストーカー殺人事件の控訴審で、東京高裁が1審判決を破棄し、東京地裁に審理を差し戻した。リベンジポルノを過大視した判決を不当と判断した今回の東京高裁判決を含め、1審裁判員裁判を高裁が破棄して地裁に差し戻したケースは、平成21年から昨年末まで10件。制度開始から間もなく6年を迎える中、高裁や最高裁からは、評議のあり方や量刑に対する考え方など、裁判員裁判への注文が続いており、「裁判官がどんなことを重視しているのかについて、裁判員に積極的に説明しようという姿勢の表れではないか」との声もある。

 昨年7月に最高裁が、傷害致死事件で検察側求刑の1・5倍の懲役刑を命じた裁判員裁判を追認した2審判決を破棄した際には、「過去の大まかな量刑傾向を共通認識として評議を深めていくことが求められている」と、刑事裁判の前提である量刑の公平性を重視した。その上で、先例とは大きく違う量刑を言い渡す際には「根拠を具体的、説得的に示すべきだ」とした。

 また、裁判員裁判での死刑判決が控訴審で無期懲役とされた2件の強盗殺人事件に対する決定で最高裁は今月、死刑を言い渡す際に「各要素を総合的に評価し、公平性の確保も踏まえて議論を深める必要がある」とした。最高裁の判断はいずれも、裁判官が判決を検討する際の考え方を裁判員に示した形だ。

 裁判員制度に関する情報発信を行う「裁判員ネット」代表理事の大城聡弁護士(40)は「制度開始前に比べ、最高裁や高裁は、1審判決がなぜ破棄するのかという理由を、判決の中で裁判員に対しても積極的に説明しようとしている姿勢がみえる」と指摘。「裁判官がどんなことを重視しているのかを国民に伝えることが、国民参加の制度では必要だ」とみる。

 一方で、今回の高裁判決については、「非公開で行われる公判前整理手続きの問題点が浮かび上がった」とする。大城弁護士は「裁判員が関与できない公判前整理手続きを理由に判断が否定されれば、裁判員側には『自分たちが話し合ったことは何だったのか』と疑問が出るだろう」と話す。その上で「手続きの全てが非公開では、国民参加の趣旨から外れてしまう。すべてを公開することは難しくても、論点を絞り込んだ流れなどを、ある程度公開することが必要になってくるのではないか」と、透明性の高い運用を求めている。