産経ニュース for mobile

【御嶽山噴火】土石流に厳戒態勢、高齢者多い麓に暗い影 住民「この先どうなるのか」

記事詳細

【御嶽山噴火】土石流に厳戒態勢、高齢者多い麓に暗い影 住民「この先どうなるのか」

更新

防災行政無線で自主避難が呼び掛けられ、公民館に一時集まった滝越地区の住民=5日午後、長野県王滝村 御嶽山の噴火に台風18号による雨が重なり、発生の可能性が高まった土石流。麓の長野県王滝村は5日夕、一部に避難勧告を出した。同県木曽町でも職員が天候の状況をにらみながら対応に追われ、厳戒態勢が取られた。「この先どうなるのか」。噴火の影響は麓の住民の生活にも暗い影を落とした。

 この日の御嶽山は朝から厚い雲と霧で覆われ、麓には雨が降り続けた。御嶽山の山頂から南に約10キロの王滝村滝越(たきごし)地区近くを流れる濁沢(にごりざわ)川も普段より少し水かさが増した。水は、火山灰を含み灰に染まった。「集落は一変してしまった」。住民の三浦雪雄さん(89)は語る。

 火山灰に連日の雨。三浦さんは収穫間近のそばの実や白菜の灰を払う作業に追われた。その上、台風の接近で大雨が予想される。濁沢川は国土交通省のシミュレーションで過去30年間の最大雨量を想定した場合、約4キロに渡り土石流が起きる恐れがあるとされた。

 滝越地区は、昭和59年の長野県西部地震での土砂崩れで村の中心部へ通じる濁沢川の橋が崩壊し、孤立した過去がある。三浦さんはヘリで救助され、約40日間の避難生活を強いられた。「土石流に加え、台風でビニールハウスが飛ばされでもしたら…。何が起こるか分からないので心配だ」

 滝越地区は10世帯14人が住んでおり、65歳以上の高齢者の割合は62.5%と高い。夜間の移動は厳しく、王滝村は、大雨注意報などの発令を待たず、午後4時に防災行政無線で地区の住民に避難を呼びかけた。

 約40分後には避難勧告も出され、地区に通じる一本道は通行止めの措置が取られた。だが、住民は「住み慣れた地を離れたくない」と、村が用意した役場近くの避難所に行かなかった。村は職員や消防団員を巡回させて警戒を続けた。

 木曽町にも雨が断続的に雨が降り注いだ。「川沿いの人は身の危険を感じたら避難してください」。町内各所に設置された防災行政無線の屋外スピーカーからは、町が河川周辺の住民に自主避難を呼びかけるアナウンスが流れ、土石流への警戒感が高まった。

 「過去に河川の氾濫はあったが、土石流災害は経験がない」と町の担当者。

 町は、堆積した火山灰が大雨によって土石流を起こす可能性がある柳又や荻の島など5地区計26世帯71人に対し、大雨警報が出なくても状況に応じて「避難勧告」を出すことを決定。午後4時半すぎに大雨注意報が出ると避難準備情報を出した。5カ所の避難所には飲料や毛布を運び込むなどの準備を整え、町道の一部を通行止めにした。

 木曽町も人口約1万3千人のうち35%が65歳以上の高齢者。特に河川の近くに住む住民に対し、5日午後から職員が1軒ずつ電話や直接訪問し、早めに自主避難するよう呼びかけた。

 避難所の近くに住む男性(82)は「被害が何もないことを願っているが、情報に注意して早めに避難するようにしたい」と話した。

ランキング